【問題】
知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)に関するア〜ウの記述を比較して,最も不適切と考えられるものはどれか。
ア 加盟国は権利者に著作権及び商標権を侵害する物品の輸入差止申立権を付与しなければならない。
イ 加盟国は輸出に関しても税関当局による通関停止措置を講じることができる。
ウ 加盟国は並行輸入品及び通過貨物について輸入差止措置を講じる義務を負う。
(23年7月実施)
【解説】
TRIPS協定による輸出入の規制についての問題です。
これは条文どおりですので、51条を見てみましょう。
第51条 税関当局による物品の解放の停止
加盟国は,この節の規定に従い,不正商標商品又は著作権侵害物品(注1)が輸入されるおそれがあると疑うに足りる正当な理由を有する権利者が,これらの物品の自由な流通への解放を税関当局が停止するよう,行政上又は司法上の権限のある当局に対し書面により申立てを提出することができる手続(注2)を採用する。加盟国は,この節の要件を満たす場合には,知的所有権のその他の侵害を伴う物品に関してこのような申立てを可能とすることができる。加盟国は,自国の領域から輸出されようとしている侵害物品の税関当局による解放の停止についても同様の手続を定めることができる。
(注1)
この協定の適用上,
(a) 「不正商標商品」とは,ある商品について有効に登録されている商標と同一であり又はその基本的側面において当該商標と識別できない商標を許諾なしに付した,当該商品と同一の商品(包装を含む。)であって,輸入国の法令上,商標権者の権利を侵害するものをいう。
(b) 「著作権侵害物品」とは,ある国において,権利者又は権利者から正当に許諾を受けた者の承諾を得ないである物品から直接又は間接に作成された複製物であって,当該物品の複製物の作成が,輸入国において行われたとしたならば,当該輸入国の法令上,著作権又は関連する権利の侵害となったであろうものをいう。
(注2)
権利者によって若しくはその承諾を得て他の国の市場に提供された物品の輸入又は通過中の物品については,この手続を適用する義務は生じないと了解する。
ア
「不正商標商品又は著作権侵害物品」の輸入差止を申し立てることができる「手続を採用する」と規定されています。
↓
適切
イ
「自国の領域から輸出されようとしている侵害物品」の差止も同様に、「手続を定めることができる」と規定されています。
任意であることに注意です。
↓
適切
ウ
「注2」において、これらの輸入差止手続を採用する義務が除外されています。
↓
不適切
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