2012年11月12日月曜日

実技試験合格見込み!

昨日、知的財産管理技能検定一級(コンテンツ専門業務)の、「実技」試験を受けてきました。

本日、正答が発表され、
筆記試験は、全問正解!

口頭試問で少しモゴモゴしたところはありましたが、おおむね的確な回答ができたのではないかと感じています。
試験官の先生も、「そうですね」とおっしゃっていましたし。

ということで、合格見込みです!

2012年11月10日土曜日

民法の、契約の有効性に関する問題

【問題】
次の1〜3の記述を前提に、契約書の効力に関するア〜ウの記述を比較して、最も適切と考えられるものはどれか。


マンガ作家甲は、高校時代からすでにマンガ雑誌への連載を行っていたが、当該連載について、18歳だった当時、自分の父親がマンガ雑誌の出版社と交わしていた出版契約書Aを発見した。甲はその存在につき、全く了知していない。


マンガ作家乙は、22歳当時、出版社と交わした出版契約書Bを発見した。著作権者は乙で、自筆でサインし捺印もしている。ところが、よく見ると、出版社としては当時の編集者の個人名が記載されている上、署名欄には出版社の編集部のゴム印と、編集者の三文判が押されているだけである。


マンガ作家丙は、27歳であった5年前に節税対策のために有限会社Xスタジオを設立し、自己の作品の著作権はすべてXスタジオに移転している。ところが、丙は、2年前に旧作を文庫版で出す際に、妻が出版社と交わしていた出版契約書Cを発見した。丙はその内容につき、全く了知していない。


ア 出版契約書Aは甲が未成年のときに取り交わされたものであるので、成人した甲は上記1の契約を取り消すこともできるが、追認も可能である。

イ 上記3の契約は、代理人である妻が本人の承諾を得ていないでした意思表示であり、丙はこれを取り消すことが可能である。

ウ 上記1、2、3の契約のいずれも、有効なものと認められる可能性がある。

(22年11月実施)


【解説】
民法の、契約の有効性に関する問題です。


未成年は民法において、制限(行為)能力者として、単独では完全な法律行為ができない者とされています。そのため、特定の行為を除き、法定代理人の同意を得ないでした行為は、取り消すことができます(5条)。
追認によって取消権の放棄をして、法律行為の効果を確定させることもできます(122条)。
しかし本問において出版契約書Aは、父親が交わした契約書であって、甲自身の法律行為ではないから、取り消しはできません。

第5条(未成年者の法律行為)
未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。

第122条(取り消すことができる行為の追認)
取り消すことができる行為は、第百二十条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。ただし、追認によって第三者の権利を害することはできない。

第20条(制限行為能力者の相手方の催告権)
制限行為能力者の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者となった後、その者に対し、一箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。
2 制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について前項に規定する催告をした場合において、これらの者が同項の期間内に確答を発しないときも、同項後段と同様とする。


不適切


日常家事債務として、有効とされる可能性があります。
「日常家事債務」とは、民法761条に規定されています。

第761条(日常の家事に関する債務の連帯責任)
夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。

すなわち、
「通常は、夫婦の一方が、夫婦の生活共同体を代表して法律行為を行うことが多いが、それが日常の家事活動の範囲内のものであるときは、夫婦の他方も連帯責任を負うことになる」(法律学小辞典第4版)
ことをいいます。
例えば、住居を借りたり、日用品を買ったり、近所付き合い、子の教育等です。

不適切


契約とは、契約書を作成しないと成立しないのではなく、一般には口頭で意思を確認し合った段階で、成立します。
 
「契約は相対立する二個の意思表示の合致した法的行為であって、債権の発生を目的とするもの」
(我妻栄・有泉亨・川井健『民法2』勁草書房、207ページ)
です。すなわち、申し込みと承諾によって成立するものであって、書面を交わす等の方式は、決められていません〔方式自由の原則〕。

つまり、口約束でも契約は有効なのです。
では契約書はどういう役割かというと、裁判になった時の証拠となるにすぎません。
ですので、一般論から言えば、2も有効になると言えます。

適切

民法の「債務不履行」に関する問題

【問題】
ゲームメーカーX社の契約担当者の契約書に関するア〜エの発言を比較して、最も不適切と考えられるものはどれか。

ア 「債務不履行による損害賠償額に関する民法416条は強行規定ではなく任意規定だよね」

イ 「債務不履行に対して損害賠償請求ができる条項を設けない場合には、不法行為に基づく損害賠償請求はできるけど、債務不履行による損害賠償請求はできないことになるので注意が必要だ」

ウ 「債務不履行による損害賠償請求について条項を設ける場合として、損害額の立証が不可能であるか困難であることが想定される場合に損害賠償額を予定しておくことがある」

エ 「債務不履行による損害賠償請求について条項を設ける場合として、当事者の一方が当該取引から得ることの維持できる利益の額に比べて、相手方に生じることの予想される損害の額が過大になりそうなことが想定される場合に損害賠償額の限度額を設けることがある」

(22年11月実施)


【解説】
民法の「債務不履行」に関する問題です。
まず条文を見てみましょう。


第415条(債務不履行による損害賠償)
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。

第416条(損害賠償の範囲)
債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。

第420条(賠償額の予定)
当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。
2 賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。
3 違約金は、賠償額の予定と推定する。


損害額の算定は、請求者が行わなければならないことが基本です。



416条は任意規定なので、その特約として420条があります。

適切


不法行為に基づく損害賠償請求と、債務不履行による損害賠償請求は、訴訟物を異にするため、両立するという考えが、多数説・判例です(旧訴訟物理論)。
※「訴訟物」については、民事訴訟法の基本的な勉強をすればすぐに出てきますが、ここでは省略します。

不適切


420条1項のとおりです。

適切


これも、416条が任意規定であることから、公序良俗に反しない限り、契約は有効と考えられています。

適切

映画の製作における資金調達の問題

【問題】
X社では新作映画の製作を企画している。資金調達方法及び実施体制に関するX社の社員のア〜エの会話を比較して、最も不適切と考えられるものはどれか。


甲「銀行借入では、映画がヒットしない場合であっても、借入金は全額返済しなければならないリスクがあるよね」
乙「担保物件の限度までしか返済義務がないノンリコース・ローンという方法があるよ。但し、金利が高いという難点があるね」


甲「銀行借入の場合は、銀行側には作品が完成しなかったときや予算の範囲内で完成できなかったときのリスクがあるよね」
乙「米国や欧州では、完成保証会社が銀行に対し、映画が所定の予算内で完成することを保証した保証書を発行し、プロデューサーからその手数料をとる仕組みが、実用化されているよ」


甲「映画の資金調達に関しては、製作委員会方式があるよね」
乙「製作委員会方式は、出資会社のうち一社が幹事会社となって資金のとりまとめや制作プロダクションへの映画制作の発注を行うけれども、完成した映画の著作権は各社の共有になるところが特徴の一つだよ」


甲「製作委員会方式においては、著作権侵害で巨額の損害賠償が生じた場合でも、各出資会社まで責任を負うことはないよね」
乙「製作委員会の法的性質は有限責任事業組合と考えられているので、委員会財産の範囲内での賠償責任に留まり、各出資会社が責任を負うことはないよ」

(22年11月実施)


【解説】
映画の製作における資金調達の問題です。


ノンリコース・ローンについては、Wikipediaに記載がありました。

適切

イ・ウ・エ
個別の方式について、次の資料を参考に、考えてみてください。

民法組合(任意組合)と投資事業有限責任組合の比較(三田行政法務事務所)

(もう一つ資料としたページがあったのですが、今はなくなってしまったようです)


これらを見ると、映画製作委員会の法的性質は、「有限責任事業組合」ではなく、民法上の「組合」(任意組合)に該当するといわれていることが分かります。

エが不適切

知的財産の価値評価に関する問題

【問題】
次の知的財産の価値評価に関する文章の空欄[1]〜[3]に入る語句の組合せとして,最も適切と考えられるものはどれか。

「インカム法」とは、資産が将来生み出す[1]に基づいて知的財産の価値を評価する手法である。[2]はインカム法の最も代表的な手法であり、事業等の価値評価に広く用いられている。[2]を簡単に説明すると、ある資産を経済的に支配することにより、将来にわたり[1]を得ることができる場合に、将来各期における予測[1]フローを[3]価値に引きなおすことの意義は、同額でも、1年後に手に入る場合と5年後に手に入る場合とでは価値が異なるため、この違いを調整するために、すべての[1]フローを資本の機会コストを用いて[3]価値に割り戻すことにある。

ア [1]=マネー     [2]=DCF法        [3]=将来
イ [1]=キャッシュ [2]=マーケット法 [3]=現在
ウ [1]=キャッシュ [2]=DCF法        [3]=現在
エ [1]=マネー     [2]=マーケット法 [3]=将来

(22年11月実施)


【解説】
知的財産の価値評価に関する問題です。
この資料に、定義の説明が書かれています。

鈴木公明「知的財産の価値評価」(特技懇)
(このPDFの1ページ目に、問題文と同じ文章があります)

価値づくり(知的資産活用).com


知的財産の価値評価方法には、
・コスト法
・マーケット法
・インカム法
の3つがあります。

本問では、この内、「インカム法」について問われています。



2012年11月3日土曜日

資金調達における「直接金融」「間接金融」についての問題

【問題】
ゲームメーカーX社では、X社が持つ3D技術を利用して、裸眼による3D機能を搭載したゲーム機を開発することになった。しかしながら、基本特許ライセンス費用やプログラム開発費、新しい製造ラインの整備、さらにアプリケーションなどのコンテンツ制作費などの資金が新たに必要であった。
資金を調達するため財務部と知的財産部が招集され、財務部部長からの方針説明があった。次の文章の空欄[1]〜[4]に入る語句の組合せとして、最も適切と考えられるものはどれか。

資金調達の方法にはいろいろありますが、X社の銀行からの[1]である銀行借入はすでに限度額に達しているので、他の方法を模索したいと考えております。また、一般投資家からの資金調達としては[2][3]化がありますが、増資のための株式発行や[4]の発行は会社の業績が芳しくないので避けたいと思います。
一方、X社の持つ3D技術は、これからのゲーム機の主流となり得る技術であり、業界では特に注目されていると知的財産部から聞いております。よって、投資ファンドの導入を検討したいと思います。

ア [1]=直接金融 [2]=金利     [3]=証券   [4]=証券
イ [1]=直接金融 [2]=間接金融 [3]=公募   [4]=証券
ウ [1]=間接金融 [2]=証券     [3]=ローン [4]=社債
エ [1]=間接金融 [2]=直接金融 [3]=証券   [4]=社債

(22年11月実施)


【解説】
資金調達における「直接金融」「間接金融」についての問題です。
分かりやすくまとめられたページがありましたので、ここを読んでください。
直接金融と間接金融」(有馬秀次著・金融大学  金融用語辞典


[1]
銀行は貸し手と借り手の間を仲介する“金融仲介機関”です。
返済されないリスクは、銀行が負います。
→従って、[1]には「間接金融」が入ります。

[2][3]
金融仲介機関が介在しない場合を直接金融といい、代表的な金融機関は証券会社です。
返済されないリスクは、貸し手が負います。
→そこで、[2]には「直接金融」、[3]には「証券」が入ります。

[4]
株式や社債の発行も、直接金融です。
→[3]で「証券」を使ってしまっているので、[4]には「社債」が入ります。



プロバイダ責任制限法についての問題

【問題】
放送事業者のX社が新たに動画投稿サイトを立ち上げようとしている。このX社の法務担当者が、いわゆるプロバイダ責任制限法について発言している。ア〜エの発言を比較して、最も適切と考えられるものはどれか。

ア 「プロバイダ責任制限法の適用対象としての『特定電気通信』には、放送法や有線テレビジョン放送にいう『放送』も含まれます」

イ 「プロバイダ責任制限法では、著作権侵害を主張してコンテンツの削除依頼があった場合、被害者の迅速な救済を優先するために先に当該コンテンツを削除してから発信者の反論によって復活させることでプロバイダが民事責任を免れる、という仕組みを採用しています」

ウ 「米国のDMCA(Digital Millennium Copyright Act)と比較すると、日本のプロバイダ責任制限法は、著作権侵害の場合に限定されず、名誉毀損やプライバシー侵害の場合も適用対象になります」

エ 「著作権を侵害されたと主張する者からプロバイダが発信者情報の開示の請求を受けた場合でも、発信者から開示に同意する旨の回答を得ていない限り、個人情報保護の観点から発信者情報を開示してはならないこととされています」

(22年11月実施)


【解説】
プロバイダ責任制限法についての問題です。
短い法律ですので、条文を読んでおきましょう。

この法律の概要が、次のサイトでまとめられていますので、これも読んでおけば、大丈夫です。条文も、逐条解説も載っています。
プロバイダ責任制限法 関連情報Webサイト



放送に当たるものは、放送法等で規律するものとして除外されています。

不適切


発信者に対する免責は、削除してから復活させるのではなく、
・権利侵害と信じる相当の理由があるとき
・削除申出を連絡しても7日以内に反論がないとき
は、削除してもよい、と規定されています。

不適切


プロバイダ責任制限法には、「権利の侵害」に限定がありません。

適切


発信者から意見を聴いて判断するよう求められてはいますが、同意のない限り開示してはならないのではなく、権利侵害と信じる相当の理由があれば、開示しても民事責任を問われなくなります。

不適切

2012年11月1日木曜日

アメリカ著作権法の「登録」に関する問題

【問題】
[1]著作権法においては、最初の発行から5年以内に著作権登録がなされた著作権の登録証には、その記載事項について法律上の推定が与えられており、1989年2月までは、著作権登録は[2]であった。また、最初の発行から3カ月以内に著作権登録を経由しておれば、[3]が与えられる利益がある。従って、[1]においては著作権登録を速やかに行うことが慣習化しているといえる。そして、著作権登録について虚偽の事実を申請すれば刑事罰の制裁があることに鑑みると、[1]著作権局発行に係る著作権登録証には、著作権を有することについて、強い事実上の推定力があるといい得るであろう。

[1]
ア 米国
イ 中国
ウ 英国
エ 韓国

[2]
ア 創作年月日を証明するための要件
イ 創作年月日の法律上の推定を受けるための要件
ウ 著作権侵害訴訟を提起するための訴訟要件
エ 著作権侵害訴訟で認容判決を得るための要件

[3]
ア 弁護士費用請求権
イ 創作年月日の法律上の推定効
ウ 最先の創作者であるという推定効
エ 懲罰的損害賠償請求権

(22年11月実施)


【解説】
アメリカ著作権法の「登録」に関する問題です。
アメリカ著作権法については、日本における第一人者といえる山本隆司弁護士がまとめられたファイルが公開されていますので、これを読んでおくことをお勧めいたします。

「アメリカ著作権制度の概要とコンテンツの法的保護」


[1]
この空欄を埋めるには、問題文を読んで、「ああ、これはアメリカ著作権法についてだな」と判断するしか、方法は分かりません……



[2]
アメリカ著作権法において、著作権登録は著作物の保護要件ではありません。
また、訴訟要件でもありません。
ただしこれらは、アメリカがベルヌ条約に加盟した1989年3月1日以降のことなのです。



[3]
アメリカ著作権法における「登録」の効果をまとめてみます。

【著作権登録の効果】
・著作権登録証に記載された事項及び著作権の有効性について、裁判上の一応の証拠となり、法律上の推定を受けられる。
(ただし虚偽の記載は刑事制裁の対象)
著作物の発行後5年以内に登録

・登録後に著作権が侵害された場合、法定賠償請求権と弁護士費用賠償請求権が与えられる。
〔損害賠償等の請求権〕
 a) 現実損害の賠償(日本同様)
 b) 侵害者の利益が現実侵害より大きければ、これを請求できる
 c) 法定賠償
   上記a・bに代えて請求でき、損害の立証を要しない。
   損害がなくても請求可。
     侵害開始前に登録完了 又は
     発行後3カ月以内に登録完了
       の場合、
     著作物1件あたり750〜30,000ドル
     (故意は15万ドルまで。善意無過失は200ドルから)
 d) 裁判費用回復請求権(日本にもある)
 e) 弁護士費用回復請求権
     侵害開始前に登録完了 又は
     発行後3カ月以内に登録完了



アメリカ著作権法の概略についての問題

【問題】
米国における著作権制度に関するア〜エの記述を比較して,最も適切と考えられるものはどれか。

ア 米国の著作権法においては,最初の発行から5年以内に著作権登録がなされていれば,弁護士費用の賠償請求権が与えられる。

イ 米国の著作権法においては,最初の発行から5年以内に著作権登録がなされた著作権の登録証には,その記載事項について法律上の推定が与えられる。

ウ 米国の著作権法による保護を受けるためには,当該著作物の創作を行った時点において新規性を有していることが要件とされる。

エ 日本人が日本国内で創作した著作物について,米国における著作権登録を受けるためには,米国にて最初に発行されなければならない。

(23年7月実施)


【解説】
アメリカ著作権法の概略についての問題です。
前問とかぶる部分が多いので、そちらの解説も参照してください。
重複部分は省略して、簡潔に書きます。


弁護士費用回復請求権が付与されるのは、発行後3カ月以内に登録が完了した場合です。

不適切


登録証記載事項に法律上の推定効が与えられるのは、発行後5年以内の登録についてです。

適切


アメリカ著作権法における保護の要件は、次の3つです。
・著作物性
・創作性
固定性(ここに注意! 日本にはない)

「新規性」はありません。

不適切


アメリカ著作権法における登録の要件に、このような規定はありません。
山本隆司弁護士のインフォテック法律事務所のサイトに、次の説明が記載されています。

(1) 適用範囲
 日本にも著作権登録の制度がありますが、登録できる事項・登録できる場合が限られています。 1.無名・変名著作物について著作者の実名を登録すること、2.著作物の第1発行年月日を登録すること、 3.プログラム著作物について創作年月日を登録すること、4.著作権の譲渡等を登録することができる(75条〜77条)に過ぎません。  これに対して、米国では、著作物を作成したこと自体を登録することができます。 したがって、すべての著作物について著作権登録を受けることができます。

不適切

ベルヌ条約における「本国」の認定の問題

【問題】
ベルヌ条約に規定される本国に関するア〜エの記述を比較して,最も不適切と考えられるものはどれか。

ア 米国で最初に発行された日本人の著作物(米国以外では発行されていない)は,米国を本国とする。

イ 日本で最初に発行された米国人の著作物(日本以外では発行されていない)は,米国を本国とする。

ウ 日本と米国で同時発行された日本人の著作物(日本と米国以外では発行されていない)は,日本を本国とする。

エ 日本と米国で同時発行された米国人の著作物(日本と米国以外では発行されていない)は,日本を本国とする。

(23年7月実施)


【解説】
ベルヌ条約における著作物の「本国」の認定の問題です。
条文を見れば、答えが分かります。

第5条〔保護の原則〕
(4) 次の著作物については、次の国を本国とする。
  (a) いずれかの同盟国において最初に発行された著作物については、その同盟国。
    もつとも、異なる保護期間を認める二以上の同盟国において
    同時に発行された著作物については、これらの国のうち
    法令の許与する保護期間が最も短い国とする。



ア 米国で最初に発行された著作物→米国が本国
イ 日本で最初に発行された著作物→日本が本国
ウ 日米で同時発行された著作物 →保護期間が短い国
エ 日米で同時発行された著作物 →保護期間が短い国

※ウ・エについては、日米の保護期間を比較すると、日本は原則、「著作者の死後50年」です。米国は、原則「死後70年」です。すると、「保護期間が短い国」は、日本になります。


イが不適切