2012年11月1日木曜日

アメリカ著作権法の「登録」に関する問題

【問題】
[1]著作権法においては、最初の発行から5年以内に著作権登録がなされた著作権の登録証には、その記載事項について法律上の推定が与えられており、1989年2月までは、著作権登録は[2]であった。また、最初の発行から3カ月以内に著作権登録を経由しておれば、[3]が与えられる利益がある。従って、[1]においては著作権登録を速やかに行うことが慣習化しているといえる。そして、著作権登録について虚偽の事実を申請すれば刑事罰の制裁があることに鑑みると、[1]著作権局発行に係る著作権登録証には、著作権を有することについて、強い事実上の推定力があるといい得るであろう。

[1]
ア 米国
イ 中国
ウ 英国
エ 韓国

[2]
ア 創作年月日を証明するための要件
イ 創作年月日の法律上の推定を受けるための要件
ウ 著作権侵害訴訟を提起するための訴訟要件
エ 著作権侵害訴訟で認容判決を得るための要件

[3]
ア 弁護士費用請求権
イ 創作年月日の法律上の推定効
ウ 最先の創作者であるという推定効
エ 懲罰的損害賠償請求権

(22年11月実施)


【解説】
アメリカ著作権法の「登録」に関する問題です。
アメリカ著作権法については、日本における第一人者といえる山本隆司弁護士がまとめられたファイルが公開されていますので、これを読んでおくことをお勧めいたします。

「アメリカ著作権制度の概要とコンテンツの法的保護」


[1]
この空欄を埋めるには、問題文を読んで、「ああ、これはアメリカ著作権法についてだな」と判断するしか、方法は分かりません……



[2]
アメリカ著作権法において、著作権登録は著作物の保護要件ではありません。
また、訴訟要件でもありません。
ただしこれらは、アメリカがベルヌ条約に加盟した1989年3月1日以降のことなのです。



[3]
アメリカ著作権法における「登録」の効果をまとめてみます。

【著作権登録の効果】
・著作権登録証に記載された事項及び著作権の有効性について、裁判上の一応の証拠となり、法律上の推定を受けられる。
(ただし虚偽の記載は刑事制裁の対象)
著作物の発行後5年以内に登録

・登録後に著作権が侵害された場合、法定賠償請求権と弁護士費用賠償請求権が与えられる。
〔損害賠償等の請求権〕
 a) 現実損害の賠償(日本同様)
 b) 侵害者の利益が現実侵害より大きければ、これを請求できる
 c) 法定賠償
   上記a・bに代えて請求でき、損害の立証を要しない。
   損害がなくても請求可。
     侵害開始前に登録完了 又は
     発行後3カ月以内に登録完了
       の場合、
     著作物1件あたり750〜30,000ドル
     (故意は15万ドルまで。善意無過失は200ドルから)
 d) 裁判費用回復請求権(日本にもある)
 e) 弁護士費用回復請求権
     侵害開始前に登録完了 又は
     発行後3カ月以内に登録完了



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