2012年11月10日土曜日

映画の製作における資金調達の問題

【問題】
X社では新作映画の製作を企画している。資金調達方法及び実施体制に関するX社の社員のア〜エの会話を比較して、最も不適切と考えられるものはどれか。


甲「銀行借入では、映画がヒットしない場合であっても、借入金は全額返済しなければならないリスクがあるよね」
乙「担保物件の限度までしか返済義務がないノンリコース・ローンという方法があるよ。但し、金利が高いという難点があるね」


甲「銀行借入の場合は、銀行側には作品が完成しなかったときや予算の範囲内で完成できなかったときのリスクがあるよね」
乙「米国や欧州では、完成保証会社が銀行に対し、映画が所定の予算内で完成することを保証した保証書を発行し、プロデューサーからその手数料をとる仕組みが、実用化されているよ」


甲「映画の資金調達に関しては、製作委員会方式があるよね」
乙「製作委員会方式は、出資会社のうち一社が幹事会社となって資金のとりまとめや制作プロダクションへの映画制作の発注を行うけれども、完成した映画の著作権は各社の共有になるところが特徴の一つだよ」


甲「製作委員会方式においては、著作権侵害で巨額の損害賠償が生じた場合でも、各出資会社まで責任を負うことはないよね」
乙「製作委員会の法的性質は有限責任事業組合と考えられているので、委員会財産の範囲内での賠償責任に留まり、各出資会社が責任を負うことはないよ」

(22年11月実施)


【解説】
映画の製作における資金調達の問題です。


ノンリコース・ローンについては、Wikipediaに記載がありました。

適切

イ・ウ・エ
個別の方式について、次の資料を参考に、考えてみてください。

民法組合(任意組合)と投資事業有限責任組合の比較(三田行政法務事務所)

(もう一つ資料としたページがあったのですが、今はなくなってしまったようです)


これらを見ると、映画製作委員会の法的性質は、「有限責任事業組合」ではなく、民法上の「組合」(任意組合)に該当するといわれていることが分かります。

エが不適切

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