【問題】
放送事業者のX社が新たに動画投稿サイトを立ち上げようとしている。このX社の法務担当者が、いわゆるプロバイダ責任制限法について発言している。ア〜エの発言を比較して、最も適切と考えられるものはどれか。
ア 「プロバイダ責任制限法の適用対象としての『特定電気通信』には、放送法や有線テレビジョン放送にいう『放送』も含まれます」
イ 「プロバイダ責任制限法では、著作権侵害を主張してコンテンツの削除依頼があった場合、被害者の迅速な救済を優先するために先に当該コンテンツを削除してから発信者の反論によって復活させることでプロバイダが民事責任を免れる、という仕組みを採用しています」
ウ 「米国のDMCA(Digital Millennium Copyright Act)と比較すると、日本のプロバイダ責任制限法は、著作権侵害の場合に限定されず、名誉毀損やプライバシー侵害の場合も適用対象になります」
エ 「著作権を侵害されたと主張する者からプロバイダが発信者情報の開示の請求を受けた場合でも、発信者から開示に同意する旨の回答を得ていない限り、個人情報保護の観点から発信者情報を開示してはならないこととされています」
(22年11月実施)
【解説】
プロバイダ責任制限法についての問題です。
短い法律ですので、条文を読んでおきましょう。
この法律の概要が、次のサイトでまとめられていますので、これも読んでおけば、大丈夫です。条文も、逐条解説も載っています。
プロバイダ責任制限法 関連情報Webサイト
ア
放送に当たるものは、放送法等で規律するものとして除外されています。
↓
不適切
イ
発信者に対する免責は、削除してから復活させるのではなく、
・権利侵害と信じる相当の理由があるとき
・削除申出を連絡しても7日以内に反論がないとき
は、削除してもよい、と規定されています。
↓
不適切
ウ
プロバイダ責任制限法には、「権利の侵害」に限定がありません。
↓
適切
エ
発信者から意見を聴いて判断するよう求められてはいますが、同意のない限り開示してはならないのではなく、権利侵害と信じる相当の理由があれば、開示しても民事責任を問われなくなります。
↓
不適切
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