【問題】
次の文章の空欄[1]〜[5]に入る語句の組合せとして、最も適切と考えられるものはどれか。
知的財産権の保護のための取極としては、[1]があります。[2]に対してはその適用に関し[3]が設けられているものの、原則としてすべての[4]は[1]を遵守する義務を負っています。
すべての[4]で構成されるTRIPS理事会が設置されていますが、その主な役割の一つは、加盟国が[1]に基づく義務を遵守しているか否か、を監視することです。そして、その監視の方法の一つとして、各国の[5]レビューが挙げられます。
具体的には、[1]が定める事項に関し加盟国が実施する[5]等を公表することとなっています。さらに、加盟国における[1]の実施状況を、「検討することに資するために」TRIPS理事会に[5]を通報することと規定されています。[5]レビュー会合においては、通報された[5]が[1]上の義務を果たしているかどうか、加盟国とレビュー国の間で質疑応答が行われます。
ア [1]=TRIPS協定
[2]=開発途上国・後発途上国
[3]=猶予期間
[4]=WTO加盟国
[5]=法令
イ [1]=TRIPS協定
[2]=先進国
[3]=猶予期間
[4]=TRIPS加盟国
[5]=裁判例
ウ [1]=パリ条約
[2]=開発途上国・後発途上国
[3]=特別措置
[4]=パリ同盟国
[5]=裁判例
エ [1]=パリ条約
[2]=WTO加盟国
[3]=特別措置
[4]=パリ同盟国
[5]=法令
(22年11月実施)
【解説】
知的財産の保護に関する条約の内容を問う問題です。
知的財産権の保護のための取極としては、TRIPS協定と、パリ条約があります。([1])
【TRIPS協定】(正式名称=知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)
[基本的な特徴]
・WTO加盟の条件
・猶予期間
・内国民待遇の原則→営業秘密の保護
・最恵国待遇の原則
・知的財産権の侵害行為に対する効果的な措置(エンフォースメント)を国内法において確保する義務
・パリ条約とベルヌ条約の実態条件を満たさなければならない
【パリ条約】(正式名称=1900年12月14日にブラッセルで,1911年6月2日にワシントンで,1925年11月6日にヘーグで,1934年6月2日にロンドンで,1958年10月31日にリスボンで及び1967年7月14日にストックホルムで改正され,並びに1979年9月28日に修正された工業所有権の保護に関する1883年3月20日のパリ条約◆長過ぎ!→工業所有権の保護に関するパリ条約)
[基本的な特徴]
・保護対象=工業所有権
・内国民待遇の原則
・優先権
・権利独立の原則
TRIPS協定は、1995年のWTO(世界貿易機関)の創設に合わせて、新たな貿易関連ルールの一つとして発効したものです。
知的財産権の保護に関してWTO加盟国が遵守すべき最低基準(ミニマム・スタンダード)として機能していますので、WTO加盟国はすべて、TRIPS協定を遵守する義務を負っています。([4])
ただし、開発途上国・後発途上国にとっては特に負担が大きいことから、「猶予期間」が設けられています。([3])
猶予期間とは、TRIPS協定によって政策変更が迫られるのはどちらかというと途上国側であることから、履行義務の発生まで、途上国には特に、数年の経過期間が設けられています。現在は、分野によって、少しずつ延長されている状況です。
また、加盟国の国内法令とTRIPS協定との整合性について、「法令レビュー」という審査が行われます。([5])
TRIPS協定については、特許庁の次のページにある、「特許行政年次報告書」を見てみてください。
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/toushin/nenji/nenpou2012_index.htm
第3章の、313-314ページを見ると、ヒントになります。
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/nenji/nenpou2012/honpen/4-3.pdf
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