2012年6月13日水曜日

私的複製の例外規定についての問題(違法ダウンロード)

【問題】
ア〜ウの記述を比較して,インターネットを利用した行為についての説明として,最も適切と考えられるものはどれか。

ア インターネット上へ著作権等を侵害してアップロードされた音楽ファイルを,ユーザーがその事実を知りながらダウンロードする行為は,私的使用を目的とする場合であっても,著作権又は著作隣接権の侵害となる。
イ インターネット上へ著作権等を侵害してアップロードされた書籍ファイルを,ユーザーがその事実を知りながらダウンロードする行為は,私的使用を目的とする場合であっても,著作権の侵害となる。

ウ 外国のサーバーに著作権等を侵害してアップロードされた動画ファイルを,ユーザーがその事実を知りながらダウンロードする行為は,私的使用を目的とするものである場合は,著作権又は著作隣接権の侵害とならない。

(23年7月実施)


【解説】
私的複製の例外規定についての問題です。
これは、平成22年1月施行の、著作権法改正で設けられた規定です。
このような、改正された部分は、極めて重要です。

著作権法第五款「著作権の制限」にある、30条(私的使用のための複製)では、次のように定められています。

著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。

一 (条文略。レンタルビデオ店の店頭などにある自動ダビング機を使ってコピーする場合)
二 (条文略。コピーガードを外したり、外された海賊版を、そうだと知ってコピーする場合)
三 著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実を知りながら行う場合

この「三号」が、新たな規定です。


30条1項柱書は、「次に掲げる場合を除き……複製することができる」と定められています。
サーバーから自分のコンピュータ等へダウンロードする行為は、「複製」です。
私的複製は、著作権が制限され、自由に行ってよいことになっていますが、では私的複製であっても違法アップロードされたものという事実を知りながらダウンロード(複製)する場合はどうなのか。
従来は、アップロードは違法でしたが、ダウンロードは違法ではありませんでした。
それが、新たに規定された「三号」によって、ダウンロードも違法(=権利侵害行為)となったのです。
(知らないでダウンロードした場合は、侵害行為にはなりません)

適切


書籍ファイルのダウンロードは、「録音又は録画」に当たりません。
よって、「三号」に該当せず、侵害行為にはなりません。

不適切


アと同じ理由です。ダウンロード自体が違法となりましたので、たとえ外国のサーバーからであっても、侵害行為となります。

不適切


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