【問題】
テレビ局であるX社では、開局50周年記念に、X社で制作した往年の人気ドラマAをビデオグラム化することになった。ところが、ビデオ担当スタッフから1998年10月5日放送のスペシャルドラマ(1話)についてアーカイヴデータの記録が見当たらず、いくつかの権利処理ができないと報告があった。
ドラマAの出演者の中で所在が不明で連絡がとれない者が二人いる。裁定制度の利用に関するビデオ担当スタッフのア〜エの発言を比較して、最も適切と考えられるものはどれか。
ア 「裁定制度は、過去の放送番組等のコンテンツをインターネットで二次利用する場合の制度なので、ビデオグラム化については適用されないよね」
イ 「裁定制度は、著作権者を対象としているので、著作隣接権者である出演者には適用されないよね」
ウ 「裁定申請の際に供託金を納付すれば、裁定結果が出る前であっても暫定的な利用ができるよね」
エ 「改正によって、裁定申請の際に相当な努力を払って権利者を探す必要がなくなったから以前より利用しやすくなったね」
(22年11月実施)
【解説】
裁定制度の問題です。
本検定においては、けっこう、出題されやすい分野です。要注意。
ア
裁定制度に、そのような制限はありません。
↓
不適切
イ
平成21年改正により、著作隣接権者と連絡することができない場合にも、裁定が受けられるようになりました。
(著作権法103条。67条・67条の2を準用)
↓
不適切
ウ
平成21年改正により、67条1項の裁定の申請中であっても、一定条件の下、申請者は申請に係る著作物を利用することができるようになりました(著作権法67条の2)。
↓
適切
エ
平成21年改正によって変わったのは、
「著作権者の不明その他の理由により相当な努力を払ってもその著作権者と連絡することができないとき」
↓
「著作権者の不明その他の理由により相当な努力を払ってもその著作権者と連絡することができない場合として政令で定める場合は」
であって、「相当な努力の要件を政令で定めることとしたものの、「相当な努力」が不要になったのではありません。
↓
不適切
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