2012年4月24日火曜日

実演家の、放送に関する権利の問題

【問題】
テレビ局であるX社では、人気俳優である甲の芸能生活30周年を記念して、甲が出演している作品のうち、X社が制作した過去のテレビドラマを記念DVDとしてビデオグラム化して発売する予定である。

テレビ局X社は、DVDの発売にあわせて、30周年特集番組Aの放送を企画している。また、その放送直後には見逃し視聴としてインターネットによるオンデマンド配信を予定している。デジタル事業部のスタッフとしては番組制作と同時にインターネット配信の権利処理を行っておきたい。ア〜エの項目を比較して、インターネット配信を行う場合に権利処理が必要な権利の組合せとして、最も適切と考えられるものはどれか。

ア 脚本家と実演家の自動公衆送信権

イ 脚本家の自動公衆送信権と実演家の送信可能化権

ウ 脚本家の翻案権と実演家の自動公衆送信権

エ 脚本家と実演家の追加報酬請求権

(22年11月実施)

【解説】
実演家に認められている、放送に関する権利にどういうものがあるか、という問題です。


実演家には自動公衆送信権は認められず、送信可能化権のみを有します(著作権法92条の2)。
このことを覚えてしまうのが、いちばん手っ取り早いでしょう。

不適切


アと同じです。

適切


アと同じです。
さらに、元のドラマをそのままインターネット配信する際には、ドラマ自体が変更されているわけではないので、脚本家の翻案権は問題になりません。脚本の上演は「複製」に当たりますから(著作権法2条1項15号イ)、問題になるのは複製権です。

不適切


「追加報酬請求権」とは、著作権法上認められた権利ではありません。

不適切

0 件のコメント:

コメントを投稿