2013年1月17日木曜日

実技試験合格! 一級知的財産管理技能士(コンテンツ専門業務)認定!!

先日、ついに発表がありました。

知的財産管理技能検定一級(コンテンツ専門業務)の、「実技」試験。

合格の基準点は、満点の「80%」。
私の成績は……

満点の「100%」!

ということで、めでたく合格いたしました。


わが家に、細長い荷物が届きました。
何だろうと開けてみると……

合格証書でした!





これで堂々と、

一級知的財産管理技能士(コンテンツ専門業務)

を名乗ることができます。


今回の合格者は59名。
合計、全国で109名の新たな一級知的財産管理技能士(コンテンツ専門業務)が誕生しました。


この資格がもっとメジャーになって、活躍の場が増えるとうれしいです。

何かできることはないかな?

2012年11月12日月曜日

実技試験合格見込み!

昨日、知的財産管理技能検定一級(コンテンツ専門業務)の、「実技」試験を受けてきました。

本日、正答が発表され、
筆記試験は、全問正解!

口頭試問で少しモゴモゴしたところはありましたが、おおむね的確な回答ができたのではないかと感じています。
試験官の先生も、「そうですね」とおっしゃっていましたし。

ということで、合格見込みです!

2012年11月10日土曜日

民法の、契約の有効性に関する問題

【問題】
次の1〜3の記述を前提に、契約書の効力に関するア〜ウの記述を比較して、最も適切と考えられるものはどれか。


マンガ作家甲は、高校時代からすでにマンガ雑誌への連載を行っていたが、当該連載について、18歳だった当時、自分の父親がマンガ雑誌の出版社と交わしていた出版契約書Aを発見した。甲はその存在につき、全く了知していない。


マンガ作家乙は、22歳当時、出版社と交わした出版契約書Bを発見した。著作権者は乙で、自筆でサインし捺印もしている。ところが、よく見ると、出版社としては当時の編集者の個人名が記載されている上、署名欄には出版社の編集部のゴム印と、編集者の三文判が押されているだけである。


マンガ作家丙は、27歳であった5年前に節税対策のために有限会社Xスタジオを設立し、自己の作品の著作権はすべてXスタジオに移転している。ところが、丙は、2年前に旧作を文庫版で出す際に、妻が出版社と交わしていた出版契約書Cを発見した。丙はその内容につき、全く了知していない。


ア 出版契約書Aは甲が未成年のときに取り交わされたものであるので、成人した甲は上記1の契約を取り消すこともできるが、追認も可能である。

イ 上記3の契約は、代理人である妻が本人の承諾を得ていないでした意思表示であり、丙はこれを取り消すことが可能である。

ウ 上記1、2、3の契約のいずれも、有効なものと認められる可能性がある。

(22年11月実施)


【解説】
民法の、契約の有効性に関する問題です。


未成年は民法において、制限(行為)能力者として、単独では完全な法律行為ができない者とされています。そのため、特定の行為を除き、法定代理人の同意を得ないでした行為は、取り消すことができます(5条)。
追認によって取消権の放棄をして、法律行為の効果を確定させることもできます(122条)。
しかし本問において出版契約書Aは、父親が交わした契約書であって、甲自身の法律行為ではないから、取り消しはできません。

第5条(未成年者の法律行為)
未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。

第122条(取り消すことができる行為の追認)
取り消すことができる行為は、第百二十条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。ただし、追認によって第三者の権利を害することはできない。

第20条(制限行為能力者の相手方の催告権)
制限行為能力者の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者となった後、その者に対し、一箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。
2 制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について前項に規定する催告をした場合において、これらの者が同項の期間内に確答を発しないときも、同項後段と同様とする。


不適切


日常家事債務として、有効とされる可能性があります。
「日常家事債務」とは、民法761条に規定されています。

第761条(日常の家事に関する債務の連帯責任)
夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。

すなわち、
「通常は、夫婦の一方が、夫婦の生活共同体を代表して法律行為を行うことが多いが、それが日常の家事活動の範囲内のものであるときは、夫婦の他方も連帯責任を負うことになる」(法律学小辞典第4版)
ことをいいます。
例えば、住居を借りたり、日用品を買ったり、近所付き合い、子の教育等です。

不適切


契約とは、契約書を作成しないと成立しないのではなく、一般には口頭で意思を確認し合った段階で、成立します。
 
「契約は相対立する二個の意思表示の合致した法的行為であって、債権の発生を目的とするもの」
(我妻栄・有泉亨・川井健『民法2』勁草書房、207ページ)
です。すなわち、申し込みと承諾によって成立するものであって、書面を交わす等の方式は、決められていません〔方式自由の原則〕。

つまり、口約束でも契約は有効なのです。
では契約書はどういう役割かというと、裁判になった時の証拠となるにすぎません。
ですので、一般論から言えば、2も有効になると言えます。

適切

民法の「債務不履行」に関する問題

【問題】
ゲームメーカーX社の契約担当者の契約書に関するア〜エの発言を比較して、最も不適切と考えられるものはどれか。

ア 「債務不履行による損害賠償額に関する民法416条は強行規定ではなく任意規定だよね」

イ 「債務不履行に対して損害賠償請求ができる条項を設けない場合には、不法行為に基づく損害賠償請求はできるけど、債務不履行による損害賠償請求はできないことになるので注意が必要だ」

ウ 「債務不履行による損害賠償請求について条項を設ける場合として、損害額の立証が不可能であるか困難であることが想定される場合に損害賠償額を予定しておくことがある」

エ 「債務不履行による損害賠償請求について条項を設ける場合として、当事者の一方が当該取引から得ることの維持できる利益の額に比べて、相手方に生じることの予想される損害の額が過大になりそうなことが想定される場合に損害賠償額の限度額を設けることがある」

(22年11月実施)


【解説】
民法の「債務不履行」に関する問題です。
まず条文を見てみましょう。


第415条(債務不履行による損害賠償)
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。

第416条(損害賠償の範囲)
債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。

第420条(賠償額の予定)
当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。
2 賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。
3 違約金は、賠償額の予定と推定する。


損害額の算定は、請求者が行わなければならないことが基本です。



416条は任意規定なので、その特約として420条があります。

適切


不法行為に基づく損害賠償請求と、債務不履行による損害賠償請求は、訴訟物を異にするため、両立するという考えが、多数説・判例です(旧訴訟物理論)。
※「訴訟物」については、民事訴訟法の基本的な勉強をすればすぐに出てきますが、ここでは省略します。

不適切


420条1項のとおりです。

適切


これも、416条が任意規定であることから、公序良俗に反しない限り、契約は有効と考えられています。

適切

映画の製作における資金調達の問題

【問題】
X社では新作映画の製作を企画している。資金調達方法及び実施体制に関するX社の社員のア〜エの会話を比較して、最も不適切と考えられるものはどれか。


甲「銀行借入では、映画がヒットしない場合であっても、借入金は全額返済しなければならないリスクがあるよね」
乙「担保物件の限度までしか返済義務がないノンリコース・ローンという方法があるよ。但し、金利が高いという難点があるね」


甲「銀行借入の場合は、銀行側には作品が完成しなかったときや予算の範囲内で完成できなかったときのリスクがあるよね」
乙「米国や欧州では、完成保証会社が銀行に対し、映画が所定の予算内で完成することを保証した保証書を発行し、プロデューサーからその手数料をとる仕組みが、実用化されているよ」


甲「映画の資金調達に関しては、製作委員会方式があるよね」
乙「製作委員会方式は、出資会社のうち一社が幹事会社となって資金のとりまとめや制作プロダクションへの映画制作の発注を行うけれども、完成した映画の著作権は各社の共有になるところが特徴の一つだよ」


甲「製作委員会方式においては、著作権侵害で巨額の損害賠償が生じた場合でも、各出資会社まで責任を負うことはないよね」
乙「製作委員会の法的性質は有限責任事業組合と考えられているので、委員会財産の範囲内での賠償責任に留まり、各出資会社が責任を負うことはないよ」

(22年11月実施)


【解説】
映画の製作における資金調達の問題です。


ノンリコース・ローンについては、Wikipediaに記載がありました。

適切

イ・ウ・エ
個別の方式について、次の資料を参考に、考えてみてください。

民法組合(任意組合)と投資事業有限責任組合の比較(三田行政法務事務所)

(もう一つ資料としたページがあったのですが、今はなくなってしまったようです)


これらを見ると、映画製作委員会の法的性質は、「有限責任事業組合」ではなく、民法上の「組合」(任意組合)に該当するといわれていることが分かります。

エが不適切

知的財産の価値評価に関する問題

【問題】
次の知的財産の価値評価に関する文章の空欄[1]〜[3]に入る語句の組合せとして,最も適切と考えられるものはどれか。

「インカム法」とは、資産が将来生み出す[1]に基づいて知的財産の価値を評価する手法である。[2]はインカム法の最も代表的な手法であり、事業等の価値評価に広く用いられている。[2]を簡単に説明すると、ある資産を経済的に支配することにより、将来にわたり[1]を得ることができる場合に、将来各期における予測[1]フローを[3]価値に引きなおすことの意義は、同額でも、1年後に手に入る場合と5年後に手に入る場合とでは価値が異なるため、この違いを調整するために、すべての[1]フローを資本の機会コストを用いて[3]価値に割り戻すことにある。

ア [1]=マネー     [2]=DCF法        [3]=将来
イ [1]=キャッシュ [2]=マーケット法 [3]=現在
ウ [1]=キャッシュ [2]=DCF法        [3]=現在
エ [1]=マネー     [2]=マーケット法 [3]=将来

(22年11月実施)


【解説】
知的財産の価値評価に関する問題です。
この資料に、定義の説明が書かれています。

鈴木公明「知的財産の価値評価」(特技懇)
(このPDFの1ページ目に、問題文と同じ文章があります)

価値づくり(知的資産活用).com


知的財産の価値評価方法には、
・コスト法
・マーケット法
・インカム法
の3つがあります。

本問では、この内、「インカム法」について問われています。



2012年11月3日土曜日

資金調達における「直接金融」「間接金融」についての問題

【問題】
ゲームメーカーX社では、X社が持つ3D技術を利用して、裸眼による3D機能を搭載したゲーム機を開発することになった。しかしながら、基本特許ライセンス費用やプログラム開発費、新しい製造ラインの整備、さらにアプリケーションなどのコンテンツ制作費などの資金が新たに必要であった。
資金を調達するため財務部と知的財産部が招集され、財務部部長からの方針説明があった。次の文章の空欄[1]〜[4]に入る語句の組合せとして、最も適切と考えられるものはどれか。

資金調達の方法にはいろいろありますが、X社の銀行からの[1]である銀行借入はすでに限度額に達しているので、他の方法を模索したいと考えております。また、一般投資家からの資金調達としては[2][3]化がありますが、増資のための株式発行や[4]の発行は会社の業績が芳しくないので避けたいと思います。
一方、X社の持つ3D技術は、これからのゲーム機の主流となり得る技術であり、業界では特に注目されていると知的財産部から聞いております。よって、投資ファンドの導入を検討したいと思います。

ア [1]=直接金融 [2]=金利     [3]=証券   [4]=証券
イ [1]=直接金融 [2]=間接金融 [3]=公募   [4]=証券
ウ [1]=間接金融 [2]=証券     [3]=ローン [4]=社債
エ [1]=間接金融 [2]=直接金融 [3]=証券   [4]=社債

(22年11月実施)


【解説】
資金調達における「直接金融」「間接金融」についての問題です。
分かりやすくまとめられたページがありましたので、ここを読んでください。
直接金融と間接金融」(有馬秀次著・金融大学  金融用語辞典


[1]
銀行は貸し手と借り手の間を仲介する“金融仲介機関”です。
返済されないリスクは、銀行が負います。
→従って、[1]には「間接金融」が入ります。

[2][3]
金融仲介機関が介在しない場合を直接金融といい、代表的な金融機関は証券会社です。
返済されないリスクは、貸し手が負います。
→そこで、[2]には「直接金融」、[3]には「証券」が入ります。

[4]
株式や社債の発行も、直接金融です。
→[3]で「証券」を使ってしまっているので、[4]には「社債」が入ります。



プロバイダ責任制限法についての問題

【問題】
放送事業者のX社が新たに動画投稿サイトを立ち上げようとしている。このX社の法務担当者が、いわゆるプロバイダ責任制限法について発言している。ア〜エの発言を比較して、最も適切と考えられるものはどれか。

ア 「プロバイダ責任制限法の適用対象としての『特定電気通信』には、放送法や有線テレビジョン放送にいう『放送』も含まれます」

イ 「プロバイダ責任制限法では、著作権侵害を主張してコンテンツの削除依頼があった場合、被害者の迅速な救済を優先するために先に当該コンテンツを削除してから発信者の反論によって復活させることでプロバイダが民事責任を免れる、という仕組みを採用しています」

ウ 「米国のDMCA(Digital Millennium Copyright Act)と比較すると、日本のプロバイダ責任制限法は、著作権侵害の場合に限定されず、名誉毀損やプライバシー侵害の場合も適用対象になります」

エ 「著作権を侵害されたと主張する者からプロバイダが発信者情報の開示の請求を受けた場合でも、発信者から開示に同意する旨の回答を得ていない限り、個人情報保護の観点から発信者情報を開示してはならないこととされています」

(22年11月実施)


【解説】
プロバイダ責任制限法についての問題です。
短い法律ですので、条文を読んでおきましょう。

この法律の概要が、次のサイトでまとめられていますので、これも読んでおけば、大丈夫です。条文も、逐条解説も載っています。
プロバイダ責任制限法 関連情報Webサイト



放送に当たるものは、放送法等で規律するものとして除外されています。

不適切


発信者に対する免責は、削除してから復活させるのではなく、
・権利侵害と信じる相当の理由があるとき
・削除申出を連絡しても7日以内に反論がないとき
は、削除してもよい、と規定されています。

不適切


プロバイダ責任制限法には、「権利の侵害」に限定がありません。

適切


発信者から意見を聴いて判断するよう求められてはいますが、同意のない限り開示してはならないのではなく、権利侵害と信じる相当の理由があれば、開示しても民事責任を問われなくなります。

不適切

2012年11月1日木曜日

アメリカ著作権法の「登録」に関する問題

【問題】
[1]著作権法においては、最初の発行から5年以内に著作権登録がなされた著作権の登録証には、その記載事項について法律上の推定が与えられており、1989年2月までは、著作権登録は[2]であった。また、最初の発行から3カ月以内に著作権登録を経由しておれば、[3]が与えられる利益がある。従って、[1]においては著作権登録を速やかに行うことが慣習化しているといえる。そして、著作権登録について虚偽の事実を申請すれば刑事罰の制裁があることに鑑みると、[1]著作権局発行に係る著作権登録証には、著作権を有することについて、強い事実上の推定力があるといい得るであろう。

[1]
ア 米国
イ 中国
ウ 英国
エ 韓国

[2]
ア 創作年月日を証明するための要件
イ 創作年月日の法律上の推定を受けるための要件
ウ 著作権侵害訴訟を提起するための訴訟要件
エ 著作権侵害訴訟で認容判決を得るための要件

[3]
ア 弁護士費用請求権
イ 創作年月日の法律上の推定効
ウ 最先の創作者であるという推定効
エ 懲罰的損害賠償請求権

(22年11月実施)


【解説】
アメリカ著作権法の「登録」に関する問題です。
アメリカ著作権法については、日本における第一人者といえる山本隆司弁護士がまとめられたファイルが公開されていますので、これを読んでおくことをお勧めいたします。

「アメリカ著作権制度の概要とコンテンツの法的保護」


[1]
この空欄を埋めるには、問題文を読んで、「ああ、これはアメリカ著作権法についてだな」と判断するしか、方法は分かりません……



[2]
アメリカ著作権法において、著作権登録は著作物の保護要件ではありません。
また、訴訟要件でもありません。
ただしこれらは、アメリカがベルヌ条約に加盟した1989年3月1日以降のことなのです。



[3]
アメリカ著作権法における「登録」の効果をまとめてみます。

【著作権登録の効果】
・著作権登録証に記載された事項及び著作権の有効性について、裁判上の一応の証拠となり、法律上の推定を受けられる。
(ただし虚偽の記載は刑事制裁の対象)
著作物の発行後5年以内に登録

・登録後に著作権が侵害された場合、法定賠償請求権と弁護士費用賠償請求権が与えられる。
〔損害賠償等の請求権〕
 a) 現実損害の賠償(日本同様)
 b) 侵害者の利益が現実侵害より大きければ、これを請求できる
 c) 法定賠償
   上記a・bに代えて請求でき、損害の立証を要しない。
   損害がなくても請求可。
     侵害開始前に登録完了 又は
     発行後3カ月以内に登録完了
       の場合、
     著作物1件あたり750〜30,000ドル
     (故意は15万ドルまで。善意無過失は200ドルから)
 d) 裁判費用回復請求権(日本にもある)
 e) 弁護士費用回復請求権
     侵害開始前に登録完了 又は
     発行後3カ月以内に登録完了



アメリカ著作権法の概略についての問題

【問題】
米国における著作権制度に関するア〜エの記述を比較して,最も適切と考えられるものはどれか。

ア 米国の著作権法においては,最初の発行から5年以内に著作権登録がなされていれば,弁護士費用の賠償請求権が与えられる。

イ 米国の著作権法においては,最初の発行から5年以内に著作権登録がなされた著作権の登録証には,その記載事項について法律上の推定が与えられる。

ウ 米国の著作権法による保護を受けるためには,当該著作物の創作を行った時点において新規性を有していることが要件とされる。

エ 日本人が日本国内で創作した著作物について,米国における著作権登録を受けるためには,米国にて最初に発行されなければならない。

(23年7月実施)


【解説】
アメリカ著作権法の概略についての問題です。
前問とかぶる部分が多いので、そちらの解説も参照してください。
重複部分は省略して、簡潔に書きます。


弁護士費用回復請求権が付与されるのは、発行後3カ月以内に登録が完了した場合です。

不適切


登録証記載事項に法律上の推定効が与えられるのは、発行後5年以内の登録についてです。

適切


アメリカ著作権法における保護の要件は、次の3つです。
・著作物性
・創作性
固定性(ここに注意! 日本にはない)

「新規性」はありません。

不適切


アメリカ著作権法における登録の要件に、このような規定はありません。
山本隆司弁護士のインフォテック法律事務所のサイトに、次の説明が記載されています。

(1) 適用範囲
 日本にも著作権登録の制度がありますが、登録できる事項・登録できる場合が限られています。 1.無名・変名著作物について著作者の実名を登録すること、2.著作物の第1発行年月日を登録すること、 3.プログラム著作物について創作年月日を登録すること、4.著作権の譲渡等を登録することができる(75条〜77条)に過ぎません。  これに対して、米国では、著作物を作成したこと自体を登録することができます。 したがって、すべての著作物について著作権登録を受けることができます。

不適切

ベルヌ条約における「本国」の認定の問題

【問題】
ベルヌ条約に規定される本国に関するア〜エの記述を比較して,最も不適切と考えられるものはどれか。

ア 米国で最初に発行された日本人の著作物(米国以外では発行されていない)は,米国を本国とする。

イ 日本で最初に発行された米国人の著作物(日本以外では発行されていない)は,米国を本国とする。

ウ 日本と米国で同時発行された日本人の著作物(日本と米国以外では発行されていない)は,日本を本国とする。

エ 日本と米国で同時発行された米国人の著作物(日本と米国以外では発行されていない)は,日本を本国とする。

(23年7月実施)


【解説】
ベルヌ条約における著作物の「本国」の認定の問題です。
条文を見れば、答えが分かります。

第5条〔保護の原則〕
(4) 次の著作物については、次の国を本国とする。
  (a) いずれかの同盟国において最初に発行された著作物については、その同盟国。
    もつとも、異なる保護期間を認める二以上の同盟国において
    同時に発行された著作物については、これらの国のうち
    法令の許与する保護期間が最も短い国とする。



ア 米国で最初に発行された著作物→米国が本国
イ 日本で最初に発行された著作物→日本が本国
ウ 日米で同時発行された著作物 →保護期間が短い国
エ 日米で同時発行された著作物 →保護期間が短い国

※ウ・エについては、日米の保護期間を比較すると、日本は原則、「著作者の死後50年」です。米国は、原則「死後70年」です。すると、「保護期間が短い国」は、日本になります。


イが不適切

2012年10月31日水曜日

TRIPS協定による輸出入規制の問題

【問題】
知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)に関するア〜ウの記述を比較して,最も不適切と考えられるものはどれか。

ア 加盟国は権利者に著作権及び商標権を侵害する物品の輸入差止申立権を付与しなければならない。
イ 加盟国は輸出に関しても税関当局による通関停止措置を講じることができる。
ウ 加盟国は並行輸入品及び通過貨物について輸入差止措置を講じる義務を負う。

(23年7月実施)


【解説】
TRIPS協定による輸出入の規制についての問題です。
これは条文どおりですので、51条を見てみましょう。

第51条 税関当局による物品の解放の停止
加盟国は,この節の規定に従い,不正商標商品又は著作権侵害物品(注1)が輸入されるおそれがあると疑うに足りる正当な理由を有する権利者が,これらの物品の自由な流通への解放を税関当局が停止するよう,行政上又は司法上の権限のある当局に対し書面により申立てを提出することができる手続(注2)を採用する。加盟国は,この節の要件を満たす場合には,知的所有権のその他の侵害を伴う物品に関してこのような申立てを可能とすることができる。加盟国は,自国の領域から輸出されようとしている侵害物品の税関当局による解放の停止についても同様の手続を定めることができる。
(注1)
この協定の適用上,
(a) 「不正商標商品」とは,ある商品について有効に登録されている商標と同一であり又はその基本的側面において当該商標と識別できない商標を許諾なしに付した,当該商品と同一の商品(包装を含む。)であって,輸入国の法令上,商標権者の権利を侵害するものをいう。
(b) 「著作権侵害物品」とは,ある国において,権利者又は権利者から正当に許諾を受けた者の承諾を得ないである物品から直接又は間接に作成された複製物であって,当該物品の複製物の作成が,輸入国において行われたとしたならば,当該輸入国の法令上,著作権又は関連する権利の侵害となったであろうものをいう。
(注2)
権利者によって若しくはその承諾を得て他の国の市場に提供された物品の輸入又は通過中の物品については,この手続を適用する義務は生じないと了解する。



「不正商標商品又は著作権侵害物品」の輸入差止を申し立てることができる「手続を採用する」と規定されています。

適切


「自国の領域から輸出されようとしている侵害物品」の差止も同様に、「手続を定めることができる」と規定されています。
任意であることに注意です。

適切


「注2」において、これらの輸入差止手続を採用する義務が除外されています。

不適切

2012年10月30日火曜日

著作権・著作隣接権に関する国際条約の問題

【問題】
出版社X社は、自社の週刊誌の翻訳本を海外に輸出することを検討していて、諸外国における著作権保護レベルについてX社の法務担当者が発言している。ア〜エの発言を比較して、最も不適切と考えられるものはどれか。

ア 「当社の週刊誌の翻訳本は、日本で発行された著作物ではありますが、輸出先の国において無断で複製された場合には、その輸出先の国の著作権法によって保護されることになります」

イ 「輸出先の国がどのような保護レベルにあるかを検討するにあたっては、まずどのような条約に加盟しているかを確認するといいね」

ウ 「著作権に関する条約といえば、ベルヌ条約と万国著作権条約が有名だね。TRIPS協定では著作権の保護については規定されているが、著作隣接権の保護については規定がないね」

エ 「ベルヌ条約は無方式主義を採用し、万国著作権条約は方式主義を採用しているけど、万国著作権条約を締結している国のうち、ベルヌ条約を締結していない国は数カ国しか存在しておらず、現在では『C』マークを付す意味はほとんどなくなっているね」

(22年11月実施)


【解説】
著作権・著作隣接権に関する国際条約の問題です。

「とるじいや」さんのサイトに、分かりやすくまとめられていますので、このページを見ればすべて回答が分かります。



この場合は、複製行為が行われた国の法律を準拠法として適用すると考えられています。
これを「属地主義」といいます。

適切


現在は、かなりの国がベルヌ条約に加盟し、保護水準が似てきていますが、すべて同じではありません。
ですので、このような調査は当然に必要でしょう。

適切


TRIPS協定の特色として、特許庁HPにまとめられています。

TRIPS協定の概要

(1)基本原則
1-1. ミニマム・スタンダード
……協定の保護水準は、加盟国が遵守すべき最低基準(ミニマム・スタンダード)。
1-2. パリ条約規定の準用
1-3. 内国民待遇、最恵国待遇

(2)保護基準
2-1. 著作権・著作隣接権
a.コンピュータ・プログラム保護。
b.実演家、レコード製作者、放送機関の保護。
c.著作物のレンタル権。

2-2. 商標
a.保護対象・保護期間の明確化。
b.周知商標保護:非類似商品・サービスであって商標権者と関連性を示す場合は保護。

2-3. 地理的表示
a.地理的表示:商品の品質・名声が、原産地の領域・土地に由来する場合に、その土地の原産であることを特定する表示。
b.地理的表示の保護。
c.ワイン・スピリッツの追加的保護。
d.今後の改正検討

2-4. 意匠
a.保護対象・期間の明確化。

2-5. 特許
a.特許対象
b.発明地差別の禁止。
c.保護期間は出願日から20年以上。

2-6. 契約における反競争的行為の規制
a.ライセンス契約などによる競争制限的な行為の規制。

(3)知的財産権の行使(エンフォースメント)
3-1. 一般的義務
a.知的財産侵害行為に対する効果的な行使手続の義務づけ。
b.不必要に複雑な手続、不合理な期間制限、不当な遅延を伴わない裁判手続、行政手続。

3-2. 水際措置
a.水際措置:知的財産侵害物品が輸入されようとする際、これを税関で差し止める手続。
b.商標権者及び著作権者は、適切な証拠があるとき、侵害品の通関の停止を関税当局に申し立てることが可。

(4)紛争の防止及び解決(第63〜64条)
a.加盟国は義務として国内法令をTRIPS理事会に通報国家間の紛争を未然に防止。
b.TRIPS協定違反を巡る国家間紛争に、WTO共通の新たな紛争処理手続を適用。

これらを見ますと、著作隣接権も保護されています。

不適切


万国著作権条約を締結している国のうち、ベルヌ条約を締結していない国は、現在ではカンボジアとラオスの2カ国です。
ですので、この両国で発行する著作物には注意が必要ですが、それ以外の場合なら、無方式主義のベルヌ条約が優先されますので、マルシーマークを付ける必要はありません。
このマルシーマークは、慣行として、いろいろなところで「付けなければならない!」と思われています。
しかし上記のとおり、法的意味はほとんどありません。
書かないと著作権が発生しないわけではありませんし、書いたからと言って特段保護が強くなるわけでもありません。
単なる著作権者は誰かを示す、目印程度の意味ですね。
ちなみに適切な表記方法は、「マルシー+著作権者名+第一発行年」です。

適切

万国著作権条約 第3条〔保護の条件〕
1 締約国は、自国の法令に基づき著作権の保護の条件として納入、登録、表示、公証人による証明、手数料の支払又は自国における製造若しくは発行等の方式に従うことを要求する場合には、この条約に基づいて保護を受ける著作物であつて自国外で最初に発行されかつその著作者が自国民でないものにつき、著作者その他の著作権者の許諾を得て発行された当該著作物のすべての複製物がその最初の発行の時から著作権者の名及び最初の発行の年とともに(c)の記号を表示している限り、その要求が満たされたものと認める。(c)の記号、著作権者の名及び最初の発行の年は、著作権の保護が要求されていることが明らかになるような適当な方法でかつ適当な場所に掲げなければならない。

※(c)は、実際にはマルシーです

知的財産の保護に関する条約の問題

【問題】
次の文章の空欄[1]〜[5]に入る語句の組合せとして、最も適切と考えられるものはどれか。

知的財産権の保護のための取極としては、[1]があります。[2]に対してはその適用に関し[3]が設けられているものの、原則としてすべての[4][1]を遵守する義務を負っています。
すべての[4]で構成されるTRIPS理事会が設置されていますが、その主な役割の一つは、加盟国が[1]に基づく義務を遵守しているか否か、を監視することです。そして、その監視の方法の一つとして、各国の[5]レビューが挙げられます。
具体的には、[1]が定める事項に関し加盟国が実施する[5]等を公表することとなっています。さらに、加盟国における[1]の実施状況を、「検討することに資するために」TRIPS理事会に[5]を通報することと規定されています。[5]レビュー会合においては、通報された[5][1]上の義務を果たしているかどうか、加盟国とレビュー国の間で質疑応答が行われます。

ア [1]=TRIPS協定
   [2]=開発途上国・後発途上国
   [3]=猶予期間
   [4]=WTO加盟国
   [5]=法令
イ [1]=TRIPS協定
   [2]=先進国
   [3]=猶予期間
   [4]=TRIPS加盟国
   [5]=裁判例
ウ [1]=パリ条約
   [2]=開発途上国・後発途上国
   [3]=特別措置
   [4]=パリ同盟国
   [5]=裁判例
エ [1]=パリ条約
   [2]=WTO加盟国
   [3]=特別措置
   [4]=パリ同盟国
   [5]=法令

(22年11月実施)


【解説】
知的財産の保護に関する条約の内容を問う問題です。

知的財産権の保護のための取極としては、TRIPS協定と、パリ条約があります。([1])

【TRIPS協定】(正式名称=知的所有権の貿易関連の側面に関する協定
[基本的な特徴]
・WTO加盟の条件
・猶予期間
・内国民待遇の原則→営業秘密の保護
・最恵国待遇の原則
・知的財産権の侵害行為に対する効果的な措置(エンフォースメント)を国内法において確保する義務
・パリ条約とベルヌ条約の実態条件を満たさなければならない

【パリ条約】(正式名称=1900年12月14日にブラッセルで,1911年6月2日にワシントンで,1925年11月6日にヘーグで,1934年6月2日にロンドンで,1958年10月31日にリスボンで及び1967年7月14日にストックホルムで改正され,並びに1979年9月28日に修正された工業所有権の保護に関する1883年3月20日のパリ条約◆長過ぎ!→工業所有権の保護に関するパリ条約
[基本的な特徴]
・保護対象=工業所有権
・内国民待遇の原則
・優先権
・権利独立の原則


TRIPS協定は、1995年のWTO(世界貿易機関)の創設に合わせて、新たな貿易関連ルールの一つとして発効したものです。
知的財産権の保護に関してWTO加盟国が遵守すべき最低基準(ミニマム・スタンダード)として機能していますので、WTO加盟国はすべて、TRIPS協定を遵守する義務を負っています。([4])
ただし、開発途上国・後発途上国にとっては特に負担が大きいことから、「猶予期間」が設けられています。([3])
猶予期間とは、TRIPS協定によって政策変更が迫られるのはどちらかというと途上国側であることから、履行義務の発生まで、途上国には特に、数年の経過期間が設けられています。現在は、分野によって、少しずつ延長されている状況です。
また、加盟国の国内法令とTRIPS協定との整合性について、「法令レビュー」という審査が行われます。([5])

TRIPS協定については、特許庁の次のページにある、「特許行政年次報告書」を見てみてください。
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/toushin/nenji/nenpou2012_index.htm

第3章の、313-314ページを見ると、ヒントになります。
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/nenji/nenpou2012/honpen/4-3.pdf

2012年10月25日木曜日

税関による輸入差止の問題3

【問題】
キャラクターグッズを販売するX社は、キャラクターAが登場するイラストを作成した。ところが、キャラクターAが刺繍されたタオルを輸入業者であるY社がX社に断りなく輸入して販売しようとしていることが判明した。

Y社が輸入しようとしているタオルのイラストは、X社のイラストを一部改変していたものであった。X社の法務担当者甲と乙とのア〜ウの会話を比較して、最も適切と考えられるものはどれか。


甲「わが社のイラストを一部改変しているようだけど、税関が判断に困ったらどうするのかな」
乙「特許権に基づく場合には特許庁長官に意見照会ができる制度がありますが、著作権に基づく場合に文化庁長官に意見照会を求める制度はありません」


甲「わが社のイラストを一部改変しているようだけど、このことについても何かいえないかな」
乙「著作者人格権侵害となるべき物の輸入もみなし侵害とされていますので、著作者人格権による輸入差止申立が可能です」


甲「わが社のイラストを一部改変しているため、税関の判断には時間がかかるかもしれないね」
乙「迅速な水際措置という趣旨から、一定期間を経過した後は、Y社は担保を提供して認定手続の取りやめを求めてタオルの輸入許可を受けることができます」

(22年11月実施)


【解説】
税関による輸入差止についての諸制度の問題です。


特許庁長官の意見を聴くことを税関長に求めることができる者は、特許権、実用新案権、意匠権に係る権利者及び対象貨物を輸入しようとした者です(関税法69条の17)。
また、育成者権についても、農林水産大臣に対し認定の参考となるべき意見を求めることができます(69条の18)。
ただし、商標権、著作権については、意見照会はできません。

適切


関税法69条の11第1項9号は、著作権、著作隣接権を侵害する物品の輸入を禁止しており、著作権法113条1項1号の規定する著作者人格権、出版権、実演家人格権の侵害物は対象となっていません。

不適切


認定手続において申立人と輸入者の主張が対立する等の理由で、侵害か否かの認定が容易にできなくなる場合、認定手続が長期化することが考えられるため、輸入できないことによって輸入者に生じる損害の賠償を担保するために申立人に対して相当額の金銭を供託させる制度があります。
ただし本問はこれと異なり、通関解放制度の問題です。これは、輸入差止申立が受理された特許権、実用新案権、または意匠権に係る貨物について認定手続が執られたとき、輸入者は一定期間経過後、税関長に対し認定手続の取りやめを求めることができる制度です。
「通関解放制度」の詳細は、税関HPに解説されていますので、お読みください。
この制度の対象には、アと同じく、商標権、著作権は含まれていません。

不適切



第69条の17(輸入してはならない貨物に係る意見を聴くことの求め等)
特許権、実用新案権又は意匠権を侵害する貨物に該当するか否かについての認定手続が執られたときは、当該貨物に係る特許権者等(特許権者、実用新案権者又は意匠権者をいう。以下この条において同じ。)又は輸入者(当該認定手続に係る貨物を輸入しようとする者をいう。以下この条において同じ。)は、政令で定めるところにより、当該特許権者等が第六十九条の十二第一項(輸入してはならない貨物に係る認定手続)の規定による通知を受けた日(以下この項及び第六十九条の二十第二項(輸入してはならない貨物に係る認定手続を取りやめることの求め等)において「通知日」という。)から起算して十日(行政機関の休日の日数は、算入しない。)を経過する日(第六十九条の二十第一項及び第二項において「十日経過日」という。)までの期間(その期間の満了する日前に当該認定手続の進行状況その他の事情を勘案して税関長が当該期間を延長することを必要と認めてその旨を当該特許権者等及び当該輸入者に通知したときは、通知日から起算して二十日(行政機関の休日の日数は、算入しない。)を経過する日(第六十九条の二十第一項において「二十日経過日」という。)までの期間)内は、当該認定手続が執られている間に限り、税関長に対し、当該認定手続に係る貨物が当該特許権者等の特許権、実用新案権又は意匠権を侵害する貨物に該当するか否かに関し、技術的範囲等(特許法第七十条第一項 (特許発明の技術的範囲)(実用新案法第二十六条 (特許法 の準用)において準用する場合を含む。)に規定する技術的範囲又は意匠法第二十五条第一項 (登録意匠の範囲)に規定する範囲をいう。第九項及び第六十九条の十九(輸入してはならない貨物に係る認定手続における専門委員への意見の求め)において同じ。)について特許庁長官の意見を聴くことを求めることができる。
2  税関長は、前項の規定による求めがあつたときは、政令で定めるところにより、特許庁長官に対し、意見を求めるものとする。ただし、同項の規定による求めに係る貨物が第六十九条の十一第一項第九号(輸入してはならない貨物)に掲げる貨物に該当するか否かが明らかであるときその他特許庁長官の意見を求める必要がないと認めるときは、この限りでない。
3  税関長は、第一項の規定による求めがあつた場合において、前項ただし書の規定により特許庁長官の意見を求めなかつたときは、第一項の規定による求めをした特許権者等又は輸入者に対し、その旨及びその理由を通知しなければならない。
4  特許庁長官は、第二項本文の規定により税関長から意見を求められたときは、その求めがあつた日から起算して三十日以内に、書面により意見を述べなければならない。
5  税関長は、第二項本文の規定により特許庁長官の意見を求めたときは、その求めに係る特許権者等及び輸入者に対し、その旨を通知しなければならない。
6  税関長は、第四項の規定による意見が述べられたときは、その意見に係る特許権者等及び輸入者に対し、その旨及びその内容を通知しなければならない。
7  税関長は、第二項本文の規定により特許庁長官の意見を求めたときは、その求めに係る第四項の規定による意見が述べられる前に、第一項の求めをした者が特許権者等である場合にあつてはその求めに係る貨物が第六十九条の十一第一項第九号に掲げる貨物に該当しないことの認定を、第一項の求めをした者が輸入者である場合にあつてはその求めに係る貨物が同号に掲げる貨物に該当することの認定をしてはならない。
8  税関長は、第二項本文の規定により特許庁長官の意見を求めた場合において、その求めに係る第四項の規定による意見が述べられる前に、第一項の求めをした者が特許権者等である場合にあつてはその求めに係る貨物が第六十九条の十一第一項第九号に掲げる貨物に該当すると認定したとき、若しくは第一項の求めをした者が輸入者である場合にあつてはその求めに係る貨物が同号に掲げる貨物に該当しないと認定したとき、又は第六十九条の十二第六項若しくは第六十九条の十五第十項(輸入差止申立てに係る供託等)の規定により当該貨物について認定手続を取りやめたときは、その旨を特許庁長官に通知するものとする。この場合においては、特許庁長官は、第四項の規定による意見を述べることを要しない。
9  税関長は、特許権、実用新案権又は意匠権を侵害する貨物に該当するか否かについての認定手続において、第六十九条の十二第一項の規定による認定をするために必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、特許庁長官に対し、当該認定手続に係る貨物が特許権者等の特許権、実用新案権又は意匠権を侵害する貨物に該当するか否かに関し、技術的範囲等について意見を求めることができる。
10  第四項から第六項まで及び次条第五項の規定は、前項の規定により意見を求める場合について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。


第69条の18(輸入してはならない貨物に係る認定手続における農林水産大臣等への意見の求め)
税関長は、育成者権を侵害する貨物又は第六十九条の十一第一項第十号(輸入してはならない貨物)に掲げる貨物に該当するか否かについての認定手続において、第六十九条の十二第一項(輸入してはならない貨物に係る認定手続)の規定による認定をするために必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、育成者権を侵害する貨物に該当するか否かについての認定手続にあつては農林水産大臣に、同号に掲げる貨物に該当するか否かについての認定手続にあつては経済産業大臣に対し、当該認定のための参考となるべき意見を求めることができる。
2  農林水産大臣又は経済産業大臣は、前項の規定により税関長から意見を求められたときは、その求めがあつた日から起算して三十日以内に、書面により意見を述べなければならない。
3  税関長は、第一項の規定により意見を求めたときは、認定手続に係る育成者権者又は不正競争差止請求権者及び当該認定手続に係る貨物を輸入しようとする者に対し、その旨を通知しなければならない。
4  税関長は、第二項の規定による意見が述べられたときは、前項の育成者権者又は不正競争差止請求権者及び当該認定手続に係る貨物を輸入しようとする者に対し、その旨及びその内容を通知しなければならない。
5  税関長は、第一項の規定により農林水産大臣又は経済産業大臣の意見を求めた場合において、その求めに係る第二項の規定による意見が述べられる前にその求めに係る貨物が育成者権を侵害する貨物若しくは第六十九条の十一第一項第十号に掲げる貨物に該当すると認定したとき若しくは該当しないと認定したとき、又は第六十九条の十二第六項若しくは第六十九条の十五第十項(輸入差止申立てに係る供託等)の規定により当該貨物について認定手続を取りやめたときは、その旨を農林水産大臣又は経済産業大臣に通知するものとする。この場合においては、農林水産大臣又は経済産業大臣は、第二項の規定による意見を述べることを要しない。


第69条の11(輸入してはならない貨物)
次に掲げる貨物は、輸入してはならない。
九  特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権又は育成者権を侵害する物品
十  不正競争防止法第二条第一項第一号 から第三号 まで、第十号又は第十一号(定義)に掲げる行為(これらの号に掲げる不正競争の区分に応じて同法第十九条第一項第一号 から第五号 まで又は第七号 (適用除外等)に定める行為を除く。)を組成する物品



第113条(侵害とみなす行為)
次に掲げる行為は、当該著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす。
一  国内において頒布する目的をもつて、輸入の時において国内で作成したとしたならば著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権の侵害となるべき行為によつて作成された物を輸入する行為
二  著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為によつて作成された物(前号の輸入に係る物を含む。)を、情を知つて、頒布し、頒布の目的をもつて所持し、若しくは頒布する旨の申出をし、又は業として輸出し、若しくは業としての輸出の目的をもつて所持する行為

2012年10月24日水曜日

税関による輸入差止申立制度の問題2

【問題】
キャラクターグッズを販売するX社は、キャラクターAが登場するイラストを作成した。ところが、キャラクターAが刺繍されたタオルを輸入業者であるY社がX社に断りなく輸入して販売しようとしていることが判明した。

社内における相談の結果、X社は税関に対して輸入差止の申立をした。X社の法務担当者甲と乙とのア〜エの会話を比較して、最も適切と考えられるものはどれか。


甲「税関に対する輸入差止の申立の有効期間はあるのかな」
乙「有効期間は最長2年ですので、その後も輸入差止を希望する場合には更新手続が必要になります」


甲「税関から認定手続開始通知書を受け取ったけど、何かする必要はあるのかな」
乙「輸入業者であるY社が争う医師を示さない限り、タオルは自動的に廃棄処分されますので、もう何もする必要はありません」


甲「税関から証拠と意見を提出するように指示されたけど、Y社が輸入しようとするタオルを提出前に確認したいよね」
乙「税関に申し出れば、タオルの数量に関わらず画像情報を電子メールで送ってもらえます」


甲「写真だけでなくもう少し詳しくY社のタオルの確認や検査をしたいけど、できるかな」
乙「タオルはこちらの所有ではないので、これ以上詳しい確認や検査をすることは一切できません」

(22年11月実施)


【解説】
税関による輸入差止申立制度の問題の続きです。
税関ホームページに、詳しい解説が載っていますので、ぜひお読みください。
http://www.customs.go.jp/mizugiwa/chiteki/pages/b_001.htm


有効期間は、最長2年で、申立人の希望する期間です。
ただし、申立てする権利の存続期間が、この2年間に達していない場合は、その権利の存続期間の最終日までとなります。
更新は、差止申立有効期間の最終日の3カ月前から手続を行うことができ、更新期間は同じく最長2年の希望日までです。

適切


通知書の日付の日の翌日から起算して10執務日以内に、権利者、輸入者双方が、当該疑義物品について意見・証拠を税関に提出します。
税関は、その内容に基づいて当該疑義物品が侵害に該当するか否かの認定を行います。
従って、何もしなければ、侵害に認定されないおそれがあり、その場合は事後の輸入も止められなくなるでしょう。

不適切


申し出により、疑義貨物の画像情報を電子メールにより送ってもらうことができます。
ただしそれは、証拠・意見を提出するために必要な場合であって、認定手続開始通知書に記載されている疑義貨物の数量が10個以下の場合に限られます。
また、税関が、業務遂行上、真にやむをえない理由により電子メールの送信ができない場合は除かれます。

不適切


権利者及び輸入者は、申請により、当該疑義物品を点検することができます。
また申立者は、申請により、承認条件を満たし、かつ、見本検査に係る供託を行った場合、見本検査(分解・分析)を実施することができます。
税関の立会に加え、輸入者が立ち会うことも可能です。

不適切

2012年10月23日火曜日

税関による輸入差止申立制度の問題

【問題】
キャラクターグッズを販売するX社は、キャラクターAが登場するイラストを作成した。ところが、キャラクターAが刺繍されたタオルを輸入業者であるY社がX社に断りなく輸入して販売しようとしていることが判明した。

X社の法務担当者甲と乙とのア〜エの会話を比較して、最も適切と考えられるものはどれか。


甲「税関にY社のタオルの輸入差止はできるのかな」
乙「税関は行政機関なので、司法機関である裁判所の決定や判決書がなければ輸入差止の申立ができません」


甲「そもそも税関にY社のタオルの輸入差止を申し立てなければ、税関は差し止めてくれないのかな」
乙「知的財産侵害疑義物品については、税関は申立があった場合に限り、申立人の提出した識別ポイントに従って、タオルに限って輸入差止に関する手続を行います」


甲「輸入差止の申立をお願いする場合、誰に依頼したらいいのかな」
乙「弁護士又は弁理士に依頼できます」


甲「税関は9つあるようだけど、申立先の税関は1つでいいのかな」
乙「Y社がどの税関から通関しているかわからないので、9つすべての税関にそれぞれ申立をしなければいけません」

(22年11月実施)


【解説】
税関による輸入差止申立制度の問題です。
税関ホームページに、詳しい解説が載っていますので、ぜひお読みください。
http://www.customs.go.jp/mizugiwa/chiteki/pages/b_001.htm


輸入差止申立制度は、知的財産権を有する者または不正競争差止請求権者が、自己の権利を侵害すると認める貨物が輸入されようとする場合に、税関長に対し、当該貨物の輸入を差し止め、認定手続きを執るべきことを申し立てる制度であり、申立の主体は権利者です。
裁判所の決定や判決書は参考資料ではあるが、必要書類ではありません。
また、この行政手続と裁判所の司法手続とは別個独立のものであるため、権利者は、税関に対して輸入差止の申立を行う一方、同時に裁判所に対して輸入禁止の仮処分を求める申立を行うことや輸入差止の訴えを提起することも可能です。

不適切


輸入差止には、税関が自主的に行う場合と、権利者や輸入者等の申立に基づいてなされる場合の2とおりがあります。
税関の知的財産調査官は、侵害物品の輸入の取り締まりのため、資料等の収集に努めるものとされています。
関税法69条の11第2項には、
税関長は、前項第1号から第6号まで、第9号又は第10号に掲げる貨物で輸入されようとするものを没収して廃棄し、又は当該貨物を輸入しようとする者にその積戻しを命ずることができる
と規定されており、また69条の12第1項では、
税関長は、この章に定めるところに従い輸入されようとする貨物のうちに前条第1項第9号又は第10号に掲げる貨物に該当する貨物があると思料するときは、政令で定めるところにより、当該貨物がこれらの号に掲げる貨物に該当するか否かを認定するための手続(認定手続)を執らなければならない
と規定されていて、権利者等の申立は、要件とされていません。

不適切


税関ホームページに、「輸入差止申立ての要件」というページがあります。
http://www.customs.go.jp/mizugiwa/chiteki/pages/b_002.htm

このページの中の、「1.権利者であるか」の欄に、書かれています。

適切


税関ホームページの、「輸入差止申立ての一般的手順」のページの内、「2 提出窓口(申立先税関及び担当部門)」の欄に、書かれています。
http://www.customs.go.jp/mizugiwa/chiteki/pages/b_003.htm

関税法69条の13第1項では、「いずれかの税関長に対し、(中略)申し立てることができる」と規定されています。

不適切



第69条の11(輸入してはならない貨物)
次に掲げる貨物は、輸入してはならない。
 一 麻薬及び向精神薬、大麻、あへん及びけしがら並びに覚醒剤(覚せい剤取締法にいう覚せい剤原料を含む。)並びにあへん吸煙具。ただし、政府が輸入するもの及び他の法令の規定により輸入することができることとされている者が当該他の法令の定めるところにより輸入するものを除く。
 二 拳銃、小銃、機関銃及び砲並びにこれらの銃砲弾並びに拳銃部品。ただし、他の法令の規定により輸入することができることとされている者が当該他の法令の定めるところにより輸入するものを除く。
 三 爆発物。ただし、他の法令の規定により輸入することができることとされている者が当該他の法令の定めるところにより輸入するものを除く。
 四 火薬類。ただし、他の法令の規定により輸入することができることとされている者が当該他の法令の定めるところにより輸入するものを除く。
 五 化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律第二条第三項(定義等)に規定する特定物質。ただし、条約又は他の法令の規定により輸入することができることとされている者が当該条約又は他の法令の定めるところにより輸入するものを除く。
 五の二 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第六条第二十項(定義)に規定する一種病原体等及び同条第二十一項に規定する二種病原体等。ただし、他の法令の規定により輸入することができることとされている者が当該他の法令の定めるところにより輸入するものを除く。
 六 貨幣、紙幣若しくは銀行券、印紙若しくは郵便切手又は有価証券の偽造品、変造品及び模造品並びに不正に作られた代金若しくは料金の支払用又は預貯金の引出用のカードを構成する電磁的記録をその構成部分とするカード
 七 公安又は風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品(次号に掲げる貨物に該当するものを除く。)
 八 児童ポルノ
 九 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権又は育成者権を侵害する物品
 十 不正競争防止法第二条第一項第一号から第三号まで、第十号又は第十一号(定義)に掲げる行為を組成する物品
2 税関長は、前項第一号から第六号まで、第九号又は第十号に掲げる貨物で輸入されようとするものを没収して廃棄し、又は当該貨物を輸入しようとする者にその積戻しを命ずることができる。
3 税関長は、この章に定めるところに従い輸入されようとする貨物のうちに第一項第七号又は第八号に掲げる貨物に該当すると認めるのに相当の理由がある貨物があるときは、当該貨物を輸入しようとする者に対し、その旨を通知しなければならない。


第69条の12(輸入してはならない貨物に係る認定手続)
税関長は、この章に定めるところに従い輸入されようとする貨物のうちに前条第一項第九号又は第十号に掲げる貨物に該当する貨物があると思料するときは、政令で定めるところにより、当該貨物がこれらの号に掲げる貨物に該当するか否かを認定するための手続(以下この条から第六十九条の二十までにおいて「認定手続」という。)を執らなければならない。この場合において、税関長は、政令で定めるところにより、当該貨物に係る特許権者等(特許権者、実用新案権者、意匠権者、商標権者、著作権者、著作隣接権者、回路配置利用権者若しくは育成者権者又は不正競争差止請求権者及び当該貨物を輸入しようとする者に対し、当該貨物について認定手続を執る旨並びに当該貨物が前条第一項第九号又は第十号に掲げる貨物に該当するか否かについてこれらの者が証拠を提出し、及び意見を述べることができる旨その他の政令で定める事項を通知しなければならない。
2 税関長は、前項の規定による通知を行う場合には、当該貨物に係る特許権者等に対しては当該貨物を輸入しようとする者及び当該貨物の仕出人の氏名又は名称及び住所を、当該貨物を輸入しようとする者に対しては当該特許権者等の氏名又は名称及び住所を、併せて通知するものとする。
3 税関長は、認定手続が執られる貨物の輸入に係る第六十七条(輸出又は輸入の許可)の規定に基づく輸入申告書その他の税関長に提出された書類、当該認定手続において税関長に提出された書類又は当該貨物における表示から、当該貨物を生産した者の氏名若しくは名称又は住所が明らかであると認める場合には、第一項の通知と併せて、又は当該通知の後で当該認定手続が執られている間、その氏名若しくは名称又は住所を当該貨物に係る特許権者等に通知するものとする。
4 税関長は、認定手続を経た後でなければ、この章に定めるところに従い輸入されようとする貨物について前条第二項の措置をとることができない。
5 税関長は、認定手続が執られた貨物が前条第一項第九号又は第十号に掲げる貨物に該当すると認定したとき、又は該当しないと認定したときは、それぞれその旨及びその理由を当該認定がされた貨物に係る特許権者等及び当該認定がされた貨物を輸入しようとする者に通知しなければならない。ただし、次項の規定による通知をした場合は、この限りでない。
6 税関長は、前項本文の規定による疑義貨物に係る認定の通知をする前に次の各号に掲げる場合のいずれかに該当することとなつたときは、当該疑義貨物に係る特許権者等に対し、その旨を通知するとともに、認定手続を取りやめるものとする。
 一 第三十四条(外国貨物の廃棄)の規定により当該疑義貨物が廃棄された場合
 二 第四十五条第一項ただし書(許可を受けた者の関税の納付義務等)の規定により当該疑義貨物が滅却された場合
 三 第七十五条(外国貨物の積戻し)の規定により当該疑義貨物が積み戻された場合
 四 前三号に掲げる場合のほか、当該疑義貨物が輸入されないこととなつた場合
7 第二項若しくは第三項の規定による通知を受けた者又は第六十九条の十六第二項の規定により承認を受けた同項に規定する申請者は、当該通知を受けた事項又は当該申請に係る見本の検査その他当該見本の取扱いにおいて知り得た事項を、みだりに他人に知らせ、又は不当な目的に使用してはならない。



第69条の13(輸入してはならない貨物に係る申立て手続等)
特許権者、実用新案権者、意匠権者、商標権者、著作権者、著作隣接権者若しくは育成者権者又は不正競争差止請求権者は、自己の特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権若しくは育成者権又は営業上の利益を侵害すると認める貨物に関し、政令で定めるところにより、いずれかの税関長に対し、その侵害の事実を疎明するために必要な証拠を提出し、当該貨物がこの章に定めるところに従い輸入されようとする場合は当該貨物について当該税関長又は他の税関長が認定手続を執るべきことを申し立てることができる。この場合において、不正競争差止請求権者は、不正競争防止法第二条第一項第一号(定義)に規定する商品等表示であつて当該不正競争差止請求権者に係るものが需要者の間に広く認識されているものであることその他の経済産業省令で定める事項について、経済産業省令で定めるところにより、経済産業大臣の意見を求め、その意見が記載された書面を申立先税関長に提出しなければならない。
2 申立先税関長は、前項の規定による申立てがあつた場合において、当該申立てに係る侵害の事実を疎明するに足りる証拠がないと認めるときは、当該申立てを受理しないことができる。
3 申立先税関長は、第一項の規定による申立てがあつた場合において、当該申立てを受理したときはその旨及び当該申立てが効力を有する期間を、前項の規定により当該申立てを受理しなかつたときはその旨及びその理由を当該申立てをした者に通知しなければならない。
1 税関長は、第一項の規定による申立てを受理した場合又は当該申立てが他の税関長により受理された場合において、当該申立てに係る貨物について認定手続を執つたときは、政令で定めるところにより、当該申立てをした者又は当該貨物を輸入しようとする者に対し、それぞれその申請により、当該貨物を点検する機会を与えなければならない。ただし、前条第六項の規定により当該認定手続を取りやめたときは、この限りでない。

2012年10月17日水曜日

JASRACによる著作権管理事業の範囲についての問題

【問題】
東京に本社をおくX社では,アジア系アーティストの人気が高いため,海外へ向けての音楽配信事業を計画している。事業の立案に際し法務担当者へ意見を求めたところ,回答があった。ア〜ウの記述を比較して,法務担当者の回答として,最も適切と考えられるものはどれか。

ア JASRACが管理している日本の楽曲については,JASRACから許諾を受けることができれば,各国にサーバーを設置し配信をしてもよい。

イ 外国の楽曲については,JASRACが演奏権を管理している場合は,JASRACの許諾を受けることができれば海外に向けた配信が可能である。

ウ 楽曲を有料配信するか無料配信するかの違いによって実演家の権利処理が変わることはない。

(23年7月実施)


【解説】
JASRACによる著作権管理事業の範囲についての問題です。


JASRACが管理しているのは、日本国内の権利のみです。

不適切


同上

不適切


実演家の権利処理が変わるのは、著作権法38条(営利を目的としない上演等)の場合のみと考えられます。

適切

2012年10月13日土曜日

著作権等管理事業法に基づく「著作権等管理事業者」についての問題

【問題】
著作権等管理事業法に関するア〜エの記述を比較して,最も不適切と考えられるものはどれか。

ア 使用料規程は文化庁に届け出され,かつ公示されているが,そこに定められた使用料の額について,交渉して減額することは許される。

イ 著作権等管理事業者が管理する著作物等は,権利者本人から直接その利用の許諾を得ることは一切できない。

ウ 一定の場合,文化庁に著作権等管理事業者の登録をせずに第三者の著作権等の管理を行うことができる。

エ 文化庁に登録された著作権等管理事業者から許諾を得ても,当該管理事業者が著作権者から著作権の管理委託を受けていない場合には,その利用は著作権侵害となる。

(23年7月実施)


【解説】
著作権等管理事業法に基づく、「著作権等管理事業者」とは何か、何ができるか、についての問題です。


使用料規程に定める額を超えた使用料の徴収は、たとえ利用者との合意に基づくものであっても無効となります。また、著作物の利用形態は日々進化・多様化するものでありますから、既存の規程を適用することができない利用形態については、協議のうえで当面の使用料額を決めて許諾することが認められています。

適切


委託者による管理の留保や制限が認められているので、その分は委託者自らが管理し、許諾することとなります。

不適切


非一任型の管理のみを行う場合や、密接関係者(親族間や親会社・子会社間等)のみの管理を行う場合等、著作権等管理事業法の規制対象外となり、登録不要な場合があります。
文化庁サイトに詳しい説明が載っています。
※下部にある(参考)の表の「許諾件の管理」は、「許諾権の管理」の誤りではないかと思います。

適切


当たり前です……

適切

2012年10月2日火曜日

著作権等管理事業法の対象範囲に関する問題

【問題】
著作権等管理事業法に関するア〜ウの記述を比較して、最も適切と考えられるものはどれか。

ア 受託者が、予定された範囲の利用行為についての著作権者等の許諾の意思表示を伝達するにすぎない場合であっても、本法における管理委託契約に含まれる。

イ 受託者が、取次や代理により著作権の管理を業として行う場合は、権利者は受託者となるため、差止請求や訴訟提起の業務を行うこともできると解される。

ウ 受託者が、著作物等の利用を許諾するに際し、委託者が自らの判断において使用料の額を決定する場合は、本法の対象となる管理委託契約から除かれる。

(22年11月実施)


【解説】
著作権等管理事業法の対象範囲に関する問題です。

著作権等管理事業法は、委託者(多くは著作権者)が受託者(著作権等管理事業者)に対し、「管理委託契約」に基づいて、著作権の管理を委託する際のルールを定めた法律です。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO131.html

著作権等管理事業者の代表的なものには、JASRAC(日本音楽著作権協会)がありますが、実はそのほかにもたくさんの団体が登録されており、平成24年6月1日現在で32団体あります。

著作権等管理事業者登録状況一覧
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/kanrijigyouhou/touroku_jyokyo/pdf/touroku_jyokyo_ver07.pdf

では「管理委託契約」とはどのようなものでしょうか。
第2条(定義)に定められています。

この法律において「管理委託契約」とは、次に掲げる契約であって、受託者による著作物、実演、レコード、放送又は有線放送の利用の許諾に際して委託者が使用料の額を決定することとされているもの以外のものをいう。
 一 委託者が受託者に著作権又は著作隣接権を移転し、著作物等の利用の許諾その他の当該著作権等の管理を行わせることを目的とする信託契約
 二 委託者が受託者に著作物等の利用の許諾の取次ぎ又は代理をさせ、併せて当該取次ぎ又は代理に伴う著作権等の管理を行わせることを目的とする委任契約

基本的には、受託者に管理を任せますよ、という「一任型」の管理が、本法における管理委託契約に該当し、委託者自身も一定の管理を行う「非一任型」の場合は該当しません。

具体的にはどういうことでしょうか。
本問の解説をしていくことで、分かってきます。



本問のような、著作権者と利用者との間を取り結び、契約の成立を目指す行為を、「媒介」といいます。最終的に契約を結ぶ主体となるのは、委託者と受託者です。
(例えれば、仲人さんのようなものでしょうか。最終的には結婚するのは新郎と新婦ですし、決定するのも本人たちですよね)
このような媒介行為は仲介業務法では規制対象だったのですが、媒介する者の裁量によって最終的に契約を成立させるものではないことから、管理事業法では非一任型の管理であるとして規制の範囲外となりました。
2条を見ると、「信託」「委任」(「取次」「代理」)の文言はありますが、「媒介」はありません。

不適切


まず「取次」「代理」の意味を見てみましょう。

取次を営業として行う商人を問屋といい、それは商法第551条に定義されています。

問屋トハ自己ノ名ヲ以テ他人ノ為メニ物品ノ販売又ハ買入ヲ為スヲ業トスル者ヲ謂フ

つまり、「自己の名を以て他人の為めに物品の販売又は買入を為す」ことを、「取次」というのです。
この法律効果は、いったん自己に帰属した後に、直ちに本人に移転することになります。

次は代理です。
民法第99条(代理行為の要件及び効果)を読んでみましょう。

代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。

この法律効果も、本人に生じます。

ということは、取次も代理も、管理の目的たる著作権は、受託者に移転しないのです。
すなわち、受託者は、著作権者ではありません。
ですから、受託者たる管理事業者が、差止請求や訴訟提起をすることはできません。
行えるのは、権利者である作家等のみです。

では信託契約の場合はどうでしょうか。
「信託」では、財産権が委託者から受託者に移転するのです。
従って、受託者たる管理事業者が著作権者として、直接、差止請求や訴訟提起をすることができます。

不適切


これは、上に書いた、「管理委託契約」第2条のとおりです。

適切