2012年10月23日火曜日

税関による輸入差止申立制度の問題

【問題】
キャラクターグッズを販売するX社は、キャラクターAが登場するイラストを作成した。ところが、キャラクターAが刺繍されたタオルを輸入業者であるY社がX社に断りなく輸入して販売しようとしていることが判明した。

X社の法務担当者甲と乙とのア〜エの会話を比較して、最も適切と考えられるものはどれか。


甲「税関にY社のタオルの輸入差止はできるのかな」
乙「税関は行政機関なので、司法機関である裁判所の決定や判決書がなければ輸入差止の申立ができません」


甲「そもそも税関にY社のタオルの輸入差止を申し立てなければ、税関は差し止めてくれないのかな」
乙「知的財産侵害疑義物品については、税関は申立があった場合に限り、申立人の提出した識別ポイントに従って、タオルに限って輸入差止に関する手続を行います」


甲「輸入差止の申立をお願いする場合、誰に依頼したらいいのかな」
乙「弁護士又は弁理士に依頼できます」


甲「税関は9つあるようだけど、申立先の税関は1つでいいのかな」
乙「Y社がどの税関から通関しているかわからないので、9つすべての税関にそれぞれ申立をしなければいけません」

(22年11月実施)


【解説】
税関による輸入差止申立制度の問題です。
税関ホームページに、詳しい解説が載っていますので、ぜひお読みください。
http://www.customs.go.jp/mizugiwa/chiteki/pages/b_001.htm


輸入差止申立制度は、知的財産権を有する者または不正競争差止請求権者が、自己の権利を侵害すると認める貨物が輸入されようとする場合に、税関長に対し、当該貨物の輸入を差し止め、認定手続きを執るべきことを申し立てる制度であり、申立の主体は権利者です。
裁判所の決定や判決書は参考資料ではあるが、必要書類ではありません。
また、この行政手続と裁判所の司法手続とは別個独立のものであるため、権利者は、税関に対して輸入差止の申立を行う一方、同時に裁判所に対して輸入禁止の仮処分を求める申立を行うことや輸入差止の訴えを提起することも可能です。

不適切


輸入差止には、税関が自主的に行う場合と、権利者や輸入者等の申立に基づいてなされる場合の2とおりがあります。
税関の知的財産調査官は、侵害物品の輸入の取り締まりのため、資料等の収集に努めるものとされています。
関税法69条の11第2項には、
税関長は、前項第1号から第6号まで、第9号又は第10号に掲げる貨物で輸入されようとするものを没収して廃棄し、又は当該貨物を輸入しようとする者にその積戻しを命ずることができる
と規定されており、また69条の12第1項では、
税関長は、この章に定めるところに従い輸入されようとする貨物のうちに前条第1項第9号又は第10号に掲げる貨物に該当する貨物があると思料するときは、政令で定めるところにより、当該貨物がこれらの号に掲げる貨物に該当するか否かを認定するための手続(認定手続)を執らなければならない
と規定されていて、権利者等の申立は、要件とされていません。

不適切


税関ホームページに、「輸入差止申立ての要件」というページがあります。
http://www.customs.go.jp/mizugiwa/chiteki/pages/b_002.htm

このページの中の、「1.権利者であるか」の欄に、書かれています。

適切


税関ホームページの、「輸入差止申立ての一般的手順」のページの内、「2 提出窓口(申立先税関及び担当部門)」の欄に、書かれています。
http://www.customs.go.jp/mizugiwa/chiteki/pages/b_003.htm

関税法69条の13第1項では、「いずれかの税関長に対し、(中略)申し立てることができる」と規定されています。

不適切



第69条の11(輸入してはならない貨物)
次に掲げる貨物は、輸入してはならない。
 一 麻薬及び向精神薬、大麻、あへん及びけしがら並びに覚醒剤(覚せい剤取締法にいう覚せい剤原料を含む。)並びにあへん吸煙具。ただし、政府が輸入するもの及び他の法令の規定により輸入することができることとされている者が当該他の法令の定めるところにより輸入するものを除く。
 二 拳銃、小銃、機関銃及び砲並びにこれらの銃砲弾並びに拳銃部品。ただし、他の法令の規定により輸入することができることとされている者が当該他の法令の定めるところにより輸入するものを除く。
 三 爆発物。ただし、他の法令の規定により輸入することができることとされている者が当該他の法令の定めるところにより輸入するものを除く。
 四 火薬類。ただし、他の法令の規定により輸入することができることとされている者が当該他の法令の定めるところにより輸入するものを除く。
 五 化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律第二条第三項(定義等)に規定する特定物質。ただし、条約又は他の法令の規定により輸入することができることとされている者が当該条約又は他の法令の定めるところにより輸入するものを除く。
 五の二 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第六条第二十項(定義)に規定する一種病原体等及び同条第二十一項に規定する二種病原体等。ただし、他の法令の規定により輸入することができることとされている者が当該他の法令の定めるところにより輸入するものを除く。
 六 貨幣、紙幣若しくは銀行券、印紙若しくは郵便切手又は有価証券の偽造品、変造品及び模造品並びに不正に作られた代金若しくは料金の支払用又は預貯金の引出用のカードを構成する電磁的記録をその構成部分とするカード
 七 公安又は風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品(次号に掲げる貨物に該当するものを除く。)
 八 児童ポルノ
 九 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権又は育成者権を侵害する物品
 十 不正競争防止法第二条第一項第一号から第三号まで、第十号又は第十一号(定義)に掲げる行為を組成する物品
2 税関長は、前項第一号から第六号まで、第九号又は第十号に掲げる貨物で輸入されようとするものを没収して廃棄し、又は当該貨物を輸入しようとする者にその積戻しを命ずることができる。
3 税関長は、この章に定めるところに従い輸入されようとする貨物のうちに第一項第七号又は第八号に掲げる貨物に該当すると認めるのに相当の理由がある貨物があるときは、当該貨物を輸入しようとする者に対し、その旨を通知しなければならない。


第69条の12(輸入してはならない貨物に係る認定手続)
税関長は、この章に定めるところに従い輸入されようとする貨物のうちに前条第一項第九号又は第十号に掲げる貨物に該当する貨物があると思料するときは、政令で定めるところにより、当該貨物がこれらの号に掲げる貨物に該当するか否かを認定するための手続(以下この条から第六十九条の二十までにおいて「認定手続」という。)を執らなければならない。この場合において、税関長は、政令で定めるところにより、当該貨物に係る特許権者等(特許権者、実用新案権者、意匠権者、商標権者、著作権者、著作隣接権者、回路配置利用権者若しくは育成者権者又は不正競争差止請求権者及び当該貨物を輸入しようとする者に対し、当該貨物について認定手続を執る旨並びに当該貨物が前条第一項第九号又は第十号に掲げる貨物に該当するか否かについてこれらの者が証拠を提出し、及び意見を述べることができる旨その他の政令で定める事項を通知しなければならない。
2 税関長は、前項の規定による通知を行う場合には、当該貨物に係る特許権者等に対しては当該貨物を輸入しようとする者及び当該貨物の仕出人の氏名又は名称及び住所を、当該貨物を輸入しようとする者に対しては当該特許権者等の氏名又は名称及び住所を、併せて通知するものとする。
3 税関長は、認定手続が執られる貨物の輸入に係る第六十七条(輸出又は輸入の許可)の規定に基づく輸入申告書その他の税関長に提出された書類、当該認定手続において税関長に提出された書類又は当該貨物における表示から、当該貨物を生産した者の氏名若しくは名称又は住所が明らかであると認める場合には、第一項の通知と併せて、又は当該通知の後で当該認定手続が執られている間、その氏名若しくは名称又は住所を当該貨物に係る特許権者等に通知するものとする。
4 税関長は、認定手続を経た後でなければ、この章に定めるところに従い輸入されようとする貨物について前条第二項の措置をとることができない。
5 税関長は、認定手続が執られた貨物が前条第一項第九号又は第十号に掲げる貨物に該当すると認定したとき、又は該当しないと認定したときは、それぞれその旨及びその理由を当該認定がされた貨物に係る特許権者等及び当該認定がされた貨物を輸入しようとする者に通知しなければならない。ただし、次項の規定による通知をした場合は、この限りでない。
6 税関長は、前項本文の規定による疑義貨物に係る認定の通知をする前に次の各号に掲げる場合のいずれかに該当することとなつたときは、当該疑義貨物に係る特許権者等に対し、その旨を通知するとともに、認定手続を取りやめるものとする。
 一 第三十四条(外国貨物の廃棄)の規定により当該疑義貨物が廃棄された場合
 二 第四十五条第一項ただし書(許可を受けた者の関税の納付義務等)の規定により当該疑義貨物が滅却された場合
 三 第七十五条(外国貨物の積戻し)の規定により当該疑義貨物が積み戻された場合
 四 前三号に掲げる場合のほか、当該疑義貨物が輸入されないこととなつた場合
7 第二項若しくは第三項の規定による通知を受けた者又は第六十九条の十六第二項の規定により承認を受けた同項に規定する申請者は、当該通知を受けた事項又は当該申請に係る見本の検査その他当該見本の取扱いにおいて知り得た事項を、みだりに他人に知らせ、又は不当な目的に使用してはならない。



第69条の13(輸入してはならない貨物に係る申立て手続等)
特許権者、実用新案権者、意匠権者、商標権者、著作権者、著作隣接権者若しくは育成者権者又は不正競争差止請求権者は、自己の特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権若しくは育成者権又は営業上の利益を侵害すると認める貨物に関し、政令で定めるところにより、いずれかの税関長に対し、その侵害の事実を疎明するために必要な証拠を提出し、当該貨物がこの章に定めるところに従い輸入されようとする場合は当該貨物について当該税関長又は他の税関長が認定手続を執るべきことを申し立てることができる。この場合において、不正競争差止請求権者は、不正競争防止法第二条第一項第一号(定義)に規定する商品等表示であつて当該不正競争差止請求権者に係るものが需要者の間に広く認識されているものであることその他の経済産業省令で定める事項について、経済産業省令で定めるところにより、経済産業大臣の意見を求め、その意見が記載された書面を申立先税関長に提出しなければならない。
2 申立先税関長は、前項の規定による申立てがあつた場合において、当該申立てに係る侵害の事実を疎明するに足りる証拠がないと認めるときは、当該申立てを受理しないことができる。
3 申立先税関長は、第一項の規定による申立てがあつた場合において、当該申立てを受理したときはその旨及び当該申立てが効力を有する期間を、前項の規定により当該申立てを受理しなかつたときはその旨及びその理由を当該申立てをした者に通知しなければならない。
1 税関長は、第一項の規定による申立てを受理した場合又は当該申立てが他の税関長により受理された場合において、当該申立てに係る貨物について認定手続を執つたときは、政令で定めるところにより、当該申立てをした者又は当該貨物を輸入しようとする者に対し、それぞれその申請により、当該貨物を点検する機会を与えなければならない。ただし、前条第六項の規定により当該認定手続を取りやめたときは、この限りでない。

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