2012年5月13日日曜日

委託契約における著作権の帰属の問題2

【問題】
契約書を読んで、その内容について答える問題です。
ただし、長文の契約書を全部載せるというわけにもいきませんので、ここでは省略します。
問題文が手元にある方は、それをごらんください。
私の手元にもありますので、ご希望の方は、メールを下さい。

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ソフトウエア開発委託契約書

株式会社X社(以下,「甲」という。)と,
株式会社Y社(以下,「乙」という。)とは,
コンピュータソフトウエアの開発業務の委託に関し,
以下の通り契約する。
(以下略)
────────────────────────
結局,X社は,Y社から提供されたドラフトに修正を加えることなく,契約を締結した。ア〜エの記述を比較して,その後のX社の行為又は考えとして,最も適切と考えられるものはどれか。

ア X社は完成したソフトウエアを子会社のコンピュータにもインストールして使用した。本契約書には使用の範囲について具体的な定めはないが,委託して開発したソフトウエアであるから特に問題は生じない。

イ X社は,Y社が本ソフトウエアのシリーズである続編ソフトを開発してZ社に販売しているのを発見した。本契約に基づくと,X社はZ社を著作権侵害として訴えることができる。

ウ 完成したソフトウエアをX社内で使用したところ軽微なバグが見つかった。X社ではプログラムを一部修正し使用しているが,本契約に基づくと問題が生じる可能性は少ない。

エ X社は,その創作年月日を証明するために,財団法人ソフトウエア情報センターに早急に申請を行い,創作年月日の登録を受けることが望ましい。

(23年7月実施)


【解説】
委託契約における著作権の帰属の問題の続きです。


契約書の条項に、著作権はY社に帰属することが明記されています。
また、職務著作としてX社が著作者となるケースでもありませんので、複製権はY社にあります。X社には所有権があるのみです。
X社ではなく、子会社のコンピュータにもインストールする行為は、複製権の侵害と考えられます。
著作権法47条の3は、
「プログラムの著作物の複製物の所有者は、自ら当該著作物を電子計算機において利用するために必要と認められる限度において、当該著作物の複製又は翻案をすることができる。」
と定めていますが、「自ら利用するために必要と認められる限度において複製できる」のであって、子会社に複製させることができるのではありません。
これは、滅失に備えたバックアップコピー等が許されていると考えるべきです。

不適切


本契約では著作権はY社に帰属することとなっていますし、特許権等もY社に帰属すると規定されていますので、Y社がZ社に販売することは問題ありません。
Z社は、Y社から正式ルートで購入していると考えられますので、Z社には著作権侵害はないと考えるのが普通でしょう。

不適切



契約条項中に
「第21条 (納入物の著作権)
2.甲は,納入物のうちプログラムの複製物を,著作権法第47条の3に従って自己利用に必要な範囲で,複製,翻案することができるものとする。乙は,かかる利用について著作者人格権を行使しないものとする。」
と規定されていますので、X社はバグの修正を行うことができます。
(著作権法47条の3については既述)

適切



プログラムの著作物の創作年月日の登録を受けることができるのは、著作者(=Y社)です。

不適切

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